2017 Fiscal Year Research-status Report
化学物質過敏症に対する漢方薬による根治療法の開発と機序の解明
Project/Area Number |
17K09287
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大澤 稔 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60790631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 章子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00400325)
沼田 健裕 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20748678)
金子 聡一郎 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60749266)
高山 真 東北大学, 大学病院, 准教授 (80579954)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 化学物質過敏症 / 根治療法開発 / 漢方薬 / QEESI / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
この1年は「化学物質過敏症」患者のリクルーティング・ピックアップ準備の年であった。まずはpilot的に化学物質過敏症診断で高名な病院の「化学物質過敏症・環境アレルギー外来」で診断済みの患者を紹介してもらい評価の方法を探った。化学物質過敏症に伴う症状と治療(漢方薬)効果との関係にある程度の再現性が確認できたため、次に評価基準を設定する作業に入った。当初の実施計画の通りスクリーニングシートの作成を進めているが、内容としてはたいへん高名な診断ツールとして確立しているQuick Environmental Exposure Sensitivity Inventory(QEESI(R) )をベースにする方向で調整に入った。また個々の症状(頭痛・めまい他)もNSR(Numerical Rating Scale)で数値化を図ることとした。幸いこのQEESIの開発者に指導を仰ぐ機会に恵まれ、研究趣旨を汲んでいただけたため、今後連携研究者としての登録をいただく方向で準備をしている。また診断の信憑性を高めるため精神科の連携研究者の協力も今後仰ぐ予定でいる。 化学物質過敏症は環境医学の領域でも大きなトピックである。この1年の間に化学、工学、看護学、衛生学を専門とする研究者のメーリングリストにも登録させていただいた。この課題に取り組むにあたり日本臨床環境医学会にも属することとなり、本研究代表者も医学の立場で情報交流をすることになり、治療実績発表の準備中である。この人事交流は本研究の大きな礎になることが予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで患者リクルーティング・ピックアップの手段を院内各科への依頼またはSocial Network service(SNS)等を用いると予定でいたが、今回新たな連携研究者(現在登録作業中)のご指導で化学物質過敏症患者の診療を実際に行っている医師を紹介していただけることになった。その医師と患者への趣意書の作成や倫理に関わる検討を仰ぐため若干予定外の工程が生じるが、かえって患者リクルート・ピックアップ時間が短縮されるため、おおむね研究工程には影響は無いものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな連携研究者との話し合いで、化学物質過敏症の診療を行っている医師を紹介してもらうことになっている。その医師との相談でまずは仙台近郊の患者5人程度の紹介をいただき、スクリーニングシートで初期値を測定、東洋医学会認定医である研究代表者ならびに同専門医である研究分担者により東洋医学的所見も併せて評価・診断する。まずはこの結果を学会や雑誌に公表する予定である。その評価・診断に基づき漢方薬を投薬し、改めてその前後の効果を同シートで測定、変化に有意性があるかを判断する。 次に化学物質過敏症の診断はされないが、同様の愁訴(頭痛・めまい他)を持つ患者との比較で効果の有意性を観察する予定でいる。この患者は東北大学病院女性健康外来にてエントリーすることを想定している。 今後の推進方策として、元々化学物質過敏症の各症状が不定愁訴に含まれることが多いため、精神科の医師を連携研究者として参加協力を仰ぐべく選定中である。 他に血液データが集まった後にメタボローム解析を初めとした手法を用い、漢方薬の効果の機序解明にまでこぎ着けられることを期待をしている。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた患者のリクルーティング・ピックアップならびに診察・治療・評価が、リクルーティング・ピックアップ準備に時間がかかったことで平成30年度に行うこととなったため次年度使用額が生じた。次年度使用額は平成30年度の助成金と合わせて治療に伴う謝礼、メタボローム解析費、データ管理用コンピュータや各種ソフトウエアの購入費等に使用する計画である。
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