2020 Fiscal Year Research-status Report
化学物質過敏症に対する漢方薬による根治療法の開発と機序の解明
Project/Area Number |
17K09287
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大澤 稔 東北大学, 医学系研究科, 講師 (60790631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 章子 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00400325)
沼田 健裕 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20748678)
金子 聡一郎 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60749266)
高山 真 東北大学, 大学病院, 准教授 (80579954)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 化学物質過敏症(CS) / 根治療法開発 / 漢方薬 / QEESI問診票 / 多(不定)愁訴 / CSとNon-CS患者の違い |
Outline of Annual Research Achievements |
化学物質過敏症(CS)は環境中にある微量な化学物質の曝露で日常生活に支障を来すレベルで自律神経様・アレルギー様症状を引き起こす疾病概念であり、同疾病による個人の健康損失に留まらず社会的・経済的損失もたいへん大きい。そのため本研究では化学物質から回避するというこれまでの受動的な治療ではなく、化学物質存在下でも生活ができるという能動的な治療法の開発を模索してきている。これまで対外活動として第28回日本臨床環境医学会学術集会(2019.6.22)で「化学物質過敏症に対する治療法の開発~治療効果から至適漢方薬を探る~」、第70回東洋医学会(2019.6.29)で「化学物質過敏症に対する漢方治療の開発について」のタイトルで成果を発表し、化学物質過敏症症状の主軸の治療となる“頭痛”に対しては五苓散が有効であることをオープンにしてきた。一方これまで推定700万人とされる化学物質過敏症患者は更年期障害等の多(不定)愁訴を訴える患者に紛れていたと考えられるが、その化学物質過敏症患者(CS患者)とそうでない患者(Non-CS患者)についての症状の特徴や差はどこにあるかという疑問が生じた。そこで2020年度はこの調査も追加で盛り込んでいくこととした。QEESI問診票を用いて両者の比較研究を行ったところ、CS患者とNon-CS患者とで多くの指標で症状の出方に有意差があること(CS>Non-CS)、CS患者の治療前後比較で有意に改善することなどが分かった。残りの時間を使用して論文投稿や学会発表をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Non-CS患者にも注目をした方が疾病の背景を知るのに有益であろうとの結論の下、2019年度末に医学系研究科倫理委員会への研究プロトコールの提出を行った。それにより2020年度はNon-CS患者に対してもこれまで化学物質過敏症症状の定量評価用のQEESI問診票を用いることを許可された。その後CS患者(8名)、Non-CS患者(20名)との間でのQEESI問診票を用いて両者の特徴を追求した。年度内にdata集計までは済ませることができたが、COVID-19による研究並びに診療制限が掛かったため、論文投稿や学会発表は延期となり、2021年度に再度繰り越しすることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の1年間の研究期間延長で、予定通りのCS患者とNon-CS患者との間でのdata取得ならびに解析まで既に終了している。2020年度末にしてCOVID-19蔓延による各種業務制限により論文投稿と学会発表が延期となってしまったが、再延長を頂戴したこの2021年度で研究計画は完遂できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
2020年度はCS患者とNon-CS患者との背景の違いを知ることに努めた結果、その研究目標は無事達成された。2021年度はこれらのdataを元に論文化することを目標とする。その公表の場としてジャーナル投稿や学会発表を行うため、その費用を次年度使用額として計上した。
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