2020 Fiscal Year Annual Research Report
原因不明の消化器症状と食思不振患者における脳―消化管神経機能の類似性の検討
Project/Area Number |
17K09289
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄司 知隆 東北大学, 大学病院, 助教 (40360870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 由香 東北大学, 大学病院, 助教 (00343046)
佐藤 康弘 東北大学, 大学病院, 講師 (20375033)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性悪心嘔吐症候群 / 回避制限性食物摂取症 / 機能性胃十二指腸障害 / 胃電図 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性胃十二指腸障害患者122人を2群に分割: 1)CNVSグループ(n = 25、14女性、35.4歳)および2)機能性胃十二指腸障害、胃腸運動障害および代謝性疾患を含む胃十二指腸症状の他のグループ(n = 97、61女性、46.6歳))。上腹部の4つの記録電極から胃電図を記録し、朝食時と睡眠時3時間の毎分胃周波数データを抽出した。時空間活動として4行(空間)と180列(時間)にデータを形成した。教師あり機械学習は、患者データの3分の2で学習し、残りの3分の1で識別テストした。時空間と周波数(1行720列)のみの正答率(%、Acc)を比較した。CNVSの弁別率は、時空間では朝食期80.8 +/- 1.02%、睡眠期79.1 +/- 1.02%、周波数のみでは朝食期78.7 +/- 1.02%、睡眠期77.8 +/- 1.02%であった。朝食期と睡眠期ならびに時空間と周波数のみの間の正答率に統計的有意差は認めなかった(p = 0.087、ウィルコクソン検定)。 本結果から、CNVSの弁別には、食前後3時間の周波数データで十分であること、従来の胃電図記録が利用可能であること、などの有用性が示唆された。食事と睡眠の結果よりCNVSでは胃ペースメーカーに起因する持続的な胃電気活動の異常が存在する可能性が考えられる。さらに、胃電気活動と右)前島皮質のパルス活動とのリンク(Richter C.G., et al. Neuroimage 146, 951-958, 2017)が報告されていることから、慢性悪心の病態には胃電気活動および右)前島皮質を中心とした機能的リモデリングが存在すると再仮説も検討された。本研究結果は2020年5月のアメリカ消化器病学会に採択されたがCOVID-19のため中止された(Gastroenterology 158(6): S-1152, 2020)。
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