2018 Fiscal Year Research-status Report
漢方薬は慢性腎臓病の治療薬となり得るか?:漢方薬の炎症制御機構解明へのチャレンジ
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17K09310
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大山 陽子 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (20583470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
山口 宗一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)
橋口 照人 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
堂前 直 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, ユニットリーダー (00321787)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HMGB1 / 腎炎 / 漢方薬 / 炎症制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
核蛋白HMGB1は細胞外へ放出されると、炎症性サイトカインとして働くという新たな一面をもつことが明らかとなっている。さらにHMGB1内に存在する3つのシステイン残基の酸化、還元によって同じ蛋白でありながら細胞遊走能や炎症性サイトカイン産生能など、その働きを変えることも分かってきた。HMGB1が慢性腎炎のKey factorであることを示した我々は漢方薬がHMGB1の酸化還元を調節することで腎炎を制御し得るという仮説をもとに研究を行っている。 =HMGB1酸化還元調節能の検証= HMGB1の酸化還元状態を検出する方法は、質量分析法のほか立体構造の変化による移動度の違いを利用して検出するウェスタンブロッティング法がある。現在、我々は3つの型をより高精度に検出できる質量分析による検出法の確立を目指し、研究を行っている。 昨年の結果として、還元・部分酸化・酸化型それぞれのHMGB1を調製し質量分析を行ったところ、調製サンプルは3つの型として検出可能であったが、電気泳動を介しゲル上から抽出した試料は酸化・還元の修飾を受けていた。そこであらかじめシステイン残基にキャップを行い、一連の工程で酸化還元の影響を受けないような手法の確認、検討を行った。検討の際、3つの型の作成が不十分(過酸化水素、DTTのトリート不足)な場合があり、何度か再検討が必要であったが、最終的に3つの型の検出が可能となった。さらに最終的には生体試料からの抽出を考え、直接アプライ法に加え、免疫沈降法でも同様の結果が得られるかの検討を行った。同時に、濃度勾配による検出精度についても検討を行った。結果、濃度依存性の確認ができ、また直接法と同様にビーズ吸着法でも高精度にHMGB1の3つの型それぞれの検出が可能であることが確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度にて、HMGB1の酸化還元の型を質量分析にて高精度に検出する手法は概ね確立できた。現在、研究試料を用いた解析(漢方薬のHMGB1の型への直接的な影響について検討)に移っており、当初の予定どおり概ね研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の実験計画通り、今回精度を確認できた質量分析法を用いて、五苓散のHMGB1酸化還元変換調節能の確認を行う。さらに腎炎ラットモデルを用い、コントロール群、五苓散投与群、腎炎群、五苓散投与腎炎群の4群を作製、五苓散がHMGB1の酸化還元状態にどのように寄与するかを血液、尿、腎組織を用い順次検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画していた検体数に満たなかったたため、測定に用いる試薬代が今回計上していた予算額に届かなかったが、次年度は今年度予定していた検体数も含めて測定する予定としている。
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