2017 Fiscal Year Research-status Report
腸内フローラをターゲットとした新規がん悪液質治療法の開発
Project/Area Number |
17K09314
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石川 剛 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90372846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00305575)
岡山 哲也 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (30636535)
坂元 直行 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, その他部局等, 研究員(移行) (40547981)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん悪液質 / 腸内フローラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、がん悪液質モデルを用いて、腸内フローラのがん悪液質形成における関与を明らかにし、腸内フローラをターゲットとした新規治療開発のための基盤的データを得ることを目的としている。H29年度は、複数の抗生物質で腸内フローラにdysbiosisを誘導し、がん悪液質への影響を検討したが、Balb/cマウスに大腸がん細胞株colon26を皮下移植したモデルでは、抗生剤の投与のみで著しい脂肪減少を伴う体重減少がおこることが観察された。したがって同モデルにおいて、がん悪液質を評価するのは困難と考え、現在、C57BL/6マウスを用いたがん悪液質モデルでの検討を行っている。C57BL/6マウスではBalb/cマウスと異なり、抗生剤投与による体重減少はほとんど見られず、両マウス間に腸内フローラのdysbiosisに対する反応性に明確な相違を認めた。抗生剤に対する両マウスの反応性の違いが、腸内フローラや免疫応答の相違など含め何に起因するものであるのかについて現在解析を進めている。 また、C57BL/cマウスに膵癌細胞株Pan02やメラノーマ細胞株B16F0を移植するモデルを用いて、腸内フローラの悪液質形成および腫瘍の進展に及ぼす影響を評価しており、今後は、腸内フローラへの様々な介入(Akkermansia muciniphilaなどのprobiotics)を行い、それらの悪液質形成、腫瘍進展に及ぼす影響・効果について検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々がこれまで悪液質モデルとして使用してきたBalb/c-colon26のモデルが、抗生剤によるdysbiosisにより著しい体重減少を来すために、がんによる悪液質を評価する本研究には適さず、あらたに抗生剤投与では体重減少を来さないC57BL/6を用いたモデル作成を行ったため、当初計画より進捗はやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
C57BL/6-Pan02によるモデル作成が完成したため、今後はこのモデルを中心にがん悪液質形成における腸内フローラの関与の検討を細菌学的および免疫学的見地から進めていく。また、腸内フローラへの介入効果についても次年度はとり組む予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況から、予定より一部の解析がやや遅れたため、解析費用を次年度に回した
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