2018 Fiscal Year Research-status Report
Cohort study to investigat health conditions of the tsunami survivors during the move from temporary apartments to revival housing
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17K09318
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
古川 勝敏 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30241631)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知症 / 震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宮城県沿岸部に位置する石巻市の高齢者を対象に、震災およびそれによって強いられる避難生活ならびに復興住宅での生活が、認知機能、日常生活動作に及ぼす影響を前向きコホートとして研究し、今後起こりうる災害に対するより良い対応のための認知症を含む疾病予防プログラムを策定することである。本研究では石巻市において、仮設住宅および復興住宅に居住する被災者を対象に前向きコホート研究を遂行している。我々は既にアルツハイマー病患者でのパイロットスタディにおいて、非被災者より被災者において認知症の増悪が顕著で、さらに被災者の中でも、自宅に留まった患者に比し、避難所に生活した患者において症状がより増悪した事を報告した。本研究では住民の認知機能と日常生活動作について、現地でアンケート調査、認知機能の観察を行い、それらの変化について前向き研究を遂行中である。さらに、被調査者の日常生活動作と簡易認知機能を調査し、災害後の仮設住宅での生活下の高齢者の健康状態、日常生活動作、認知機能変化、認知症の発症および進行についてのエビデンスを構築中である。さらに得られたエビデンスを基に、起こりうる次なる災害時の健康、日常生活動作、認知症予防に対する高齢者のマネージメントプログラムを策定していく。震災から約8年が経過し、「亜急性期」から「慢性期」「復興完了期」に入った状況において、被災者に主観的、客観的な健康上の問題がどの程度存在するかを明らかにすることは、我々に課せられた今しかできない使命でもある。また定期的な健康調査を実施し、医療に関する情報(国民健康保険および後期高齢者医療制度における保険の受領状況と医療費に関する情報)、介護保険に関する情報(要介護認定)を連結させることで、震災により変化した生活習慣や環境が認知機能を含む健康に与える長期的な影響を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査票、研究の説明文、研究参加同意書を郵送し、2-4週間後、調査者が仮設住宅の各戸を訪問し、被調査者に十分な説明を行い、インフォームドコンセントを得た上で診査票を回収した。その際、同意書の不備、アンケートの記載漏れ等をチェックし、必要があれば完成までの補助を行った。(1)調査者は訪問時に被調査者の握力(右、左)を計測した。(2)簡易認知機能検査は「物忘れ相談プログラム」(日本光電社 MSP-1000とMSP-1100)を用いて行っている。このプログラムはコンピューターのタッチパネルを用いて行う高齢者にも取り扱いの容易なプログラムである。質問の内容は、認知症スクリーニング検査として世界で最も汎用されているMini-Mental State Examination (MMSE)の主要項目を網羅しており、認知症発症のスクリーニング検査法として非常に有用な装置である。仮設住宅の集会所またはそれに準ずる場所に「物忘れ相談プログラム」を設置し、医師、看護師、または調査者が被調査者を集会所に招いて、機械の取り扱い方を十分に説明した後に、プログラムを施行した。「物忘れ相談プログラム」と並行して、サルコペニアの状況を把握するために、大腿周囲径、下腿周囲径、上腕周囲径、およびインピーダンス法による筋肉量測定を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に参加することにより期待される利益および被験者に起こりうる危険性ならびに必然的に伴う不快な状態を十分に説明し、研究を遂行していく。本研究は東北医科薬科大学等から支援活動を行っている医師が主体となり、石巻市立病院、こだまホスピタルと連携して行われているため、本研究の遂行により、健康状態に問題、不安がある場合に迅速に適切な医療支援、医療機関受診のアドバイスが得られることが期待される。また、得られた知見を基に石巻市民に対し有益な医療に関する情報や方策を提供・提言していく。一方、本研究はアンケート調査とコンピューターを用いた簡易認知機能検査と一般検診だけなので、特段の危険や侵襲は伴わない。しかしながら、本研究に参加することにより地震、津波、家族や家屋の喪失を想起するきっかけとなり、一時的に心身が不安定になる可能性がある。研究参加中に大震災の状況が想起され心身が不安定になった場合には、仮設住宅サポートセンターの職員や保健師、看護師に連絡をとるように記載し、そのようなケースに適切に対応できるようにする。本研究により対象者に関わる個人情報が不適切に管理されれば情報が漏洩する可能性があるため、本研究では情報の管理に細心の注意を払い研究を継続する。
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Causes of Carryover |
調査にかかる費用等が当初の予定額よりも少なかったので、次年度に繰越し、次の調査に使用することとした。
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Research Products
(5 results)