2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of pharmacological actions of Ephedra Herb through stimulation of endocytosis
Project/Area Number |
17K09321
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
日向 須美子 北里大学, 東洋医学総合研究所, 研究員 (60353471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 麻黄 / c-Met / クラスリン依存性エンドサイトーシス / トランスサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、麻黄エキス(EHE)は、肝細胞増殖因子受容体c-Metを過剰発現しているヒト非小細胞肺がんH1993細胞のc-Met発現をダウンレギュレーションすることを見出した。昨年度の研究から、EHEはクラスリン依存性エンドサイトーシスに影響を与えていることが示唆された。そこで、クラスリンの重合を阻害するクラスリン阻害剤Pitstop2を用いて、EHEによるc-Metのダウンレギュレーションが阻害されるかどうかを検討した結果、Pitstop2濃度依存的に阻害された。一方、カベオラを壊してカベオリン依存性エンドサイトーシスを阻害するMethyl-β-cyclodextrinは、EHEの作用に影響を与えなかった。これらの結果から、EHEはクラスリン依存性エンドサイトーシスを促進していることが示唆された。さらに、リソソームのタンパク質分解酵素阻害Bafilomycin A1の濃度依存的にEHEの作用が阻害されたことから、EHEは、c-Metのクラスリン依存性エンドサイトーシスとリソソームでの分解を促進していることが示唆された。 次に、EHEがトランスサイトーシスを促進する可能性について検討するため、ヒト腸上皮細胞株CACO-2細胞の単層培養を用いたトランスサイトーシスのアッセイ系を構築した。理研細胞バンクからCACO-2細胞を入手し、トランスウエルインサート上で21日間培養し、経上皮電気抵抗(TER)をミリセルERS-2で測定して、200Ω以上になっていることを確認した。トランスサイトーシスのマーカーとして用いられているHRP (horseradish peroxidase)をCaco-2単層培養上に添加し、2時間培養した。下部ウエルに移行したHRP量を酵素活性測定法で定量した結果、4.3%のHRPが下部ウエルに移行し、本アッセイ系が機能していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり、EHEのエンドサイトーシスのメカニズムを明らかにし、さらに、トランスサイトーシスのアッセイ系を構築できた。 さらに、今年度の研究中に、EHEと既存の受容体型チロシンキナーゼ阻害剤の作用が大きく異なることを見出した。既存のチロシンキナーゼ阻害剤は、受容体のリン酸化を阻害するが、受容体の発現量は増加した。受容体のダウンレギュレーションは、リン酸化がきっかけとなって起こるが、阻害剤によりリン酸化を阻害されたため、ダウンレギュレーションが止まったと考えられた。一方、EHEは受容体のリン酸化阻害と受容体のダウンレギュレーションを促進したことから、EHEはリン酸化されていない受容体もダウンレギュレーションしていることが示唆され、既存のチロシンキナーゼ阻害剤とは、作用メカニズムが異なることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に作製したトランスサイトーシスのアッセイ系を用いて、EHEがHRPのトランスサイトーシスを促進するかどうかを検証する。また、エフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス(EFE)についても同様の作用があるのかどうかを確認する。さらに、最近、EHEやEFEの活性成分として、高分子縮合型タンニン(MW 45kDa以上)を見出しており、この高分子成分が下部ウエルにトランスサイトーシスされるのかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
CACO-2細胞の維持に20%FCS含有培地が必要で、血清の消費量が早く、新しいロットの血清を購入予定であるが、血清のロットチェックが年度内に間に合わず、来年度にロットチェックを行い、血清を購入することとなったため、血清購入費用を次年度に繰り越した。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] エフェドリンアルカロイド除去麻黄エキス (EFE) によるCFA誘発関節炎モデルマウスの機械刺激に対する感受性の低下2019
Author(s)
宮嶋直紀, 中森俊輔, 日向須美子, 南可恵, 楊金緯, 内山奈穂子, 日向昌司, 大嶋直浩, 天倉吉章, 袴塚高志, 合田幸広, 小田口浩, 花輪壽彦, 小林義典
Organizer
日本薬学会第139年会
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[Presentation] 麻黄に含まれるエフェドリンアルカロイドの自発運動能に対する作用の解析2019
Author(s)
黄雪丹, 安藤真紀, 尾野颯哉, 張葉琳, 日向須美子, 竹元裕明, 山下忠俊, 楊金緯, 内山奈穂子, 日向昌司, 大嶋直浩, 天倉吉章, 袴塚高志, 合田幸広, 小田口浩, 花輪壽彦, 小林義典
Organizer
日本薬学会第139年会
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