2020 Fiscal Year Research-status Report
非特異的腰痛患者に対する鍼の効果-世界初のダブルブラインド・プラセボ対照臨床試験
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17K09329
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
矢嶌 裕義 東京有明医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00563412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 知揚 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (10563413)
高山 美歩 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (20563414)
高倉 伸有 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (60563400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダブルブラインド鍼 / 非特異的腰痛 / 筋電図 / レントゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、術者及び患者をマスクした状態(ダブルブラインド下)で、非特異的腰痛に対する鍼治療の効果を観察することを最大の目的としたプラセボ対照ランダム化比較試験である。この研究で用いる最も重要なダブルブラインド鍼は、現在までにプロトタイプが完成し、このプロトタイプの鍼を用いて本研究を継続している。 昨年度は、プロトタイプのダブルブラインド鍼での術者マスキングについて、鍼の太さが変化する事で、刺鍼動作に伴う刺入感覚の変化が生じてもほとんど問題のないことを報告し、更にはSteffenらとの共同研究において、この鍼を用いての二重盲検での臨床研究における実現可能性や問題点などを報告した。 一方で昨年度は、SARS-CoV-2 感染症の問題が生じ、本学附属鍼灸センターが患者の受け入れを制限し、緊急事態宣言によって休診に追い込まれたことから、研究参加者の確保が困難となり、大幅な遅れを生じた。その後、附属鍼灸センターが再開となり、研究参加者募集の広告ポスターを江東区役所や近隣スポーツクラブに掲示させていただき、また近隣住人からの参加を促した。 その結果、令和2年度までに、目標患者数60名の95%にあたる57名の非特異的腰痛患者に対する臨床研究を実施することができた。この57名の結果を一部解析したところ、側弯症患者が3名、Flexion Relaxationの非消失患者が9名おり、これら計12名の患者が研究対象から除外されたため、残りの45名を本研究の組み入れ患者とし、研究を進めることとした。今後の目標患者数まで残り15名であり、本研究費の許す限り患者を募集して、SARS-CoV-2 感染症の状況を鑑みながら、慎重に臨床研究を継続する予定である。 これまでに本研究費は、鍼の開発や鍼の製作や滅菌、研究補助者への謝礼金のほか、患者募集、鍼治療やレントゲン検査など研究参加者に係る費用に充てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究がやや遅れた理由は、以下の2つである。 1) 昨年度、SARS-CoV-2 感染症の問題が生じ、本学附属鍼灸センターが患者の受け入れを制限し、その後休診に追い込まれたことから、研究参加者の確保が困難となり、大幅な遅れを生じたが、鍼灸センター再開後は、研究参加者募集の広告ポスターを江東区役所や近隣スポーツクラブに掲示させていただき、また近隣住人からの参加を促した。その結果、現在、目標患者数の95%にあたる、57名の非特異的腰痛患者に対する臨床研究を実施することができた。 2) しかしながら57名の研究参加者のうち、側弯患者3名、Flexion Relaxationの非消失患者9名、計12名が研究参加の除外基準に当てはまることが確認された。そのため令和3年度に、当初予定していた60名の研究参加者数まで、残り15名の患者をできる限り募って臨床研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に参加していただく患者の募集については、これまで同様に本学臨床施設の外来患者を対象とし、その他からの患者の募集については、昨年同様に臨床施設周囲の大型集合住宅、商業施設、スポーツジム、江東区の公共施設等に患者募集のポスター掲示及び、チラシ設置により、近隣住民への告知及びリクルートを予定している。またSNS上の大学アカウントから定期的に募集を告知すると同時に、大学ホームページ上でも参加を促している。 SARS-CoV-2 感染症問題に対しては動員するスタッフ人数を絞ることにより三密を防ぎ、マスクと手袋の着用を義務付け、厚生労働省の「新型コロナウィルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)」を参考にしつつ対処し、臨床研究を行う。そのため、スタッフの人数を絞り、施術者のダブルブラインド鍼の操作状況等も確認しながら研究を進めていくことから、これまでと同様の速度での実施は難しいことが予想される。しかし、実施不可能な数ではないため、工夫しながら臨床研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度はSARS-CoV-2 感染症があり、本学附属鍼灸センターが休診したため、患者の募集が遅れ、臨床研究にも多大な影響があったが、令和2年度までに目標患者数の95%にあたる、57名の非特異的腰痛患者に対する臨床研究を実施することができた。しかし、途中解析の結果、このうちの12名が研究参加者の除外基準に当てはまることが確認されたため、当初予定していた60名の研究参加者数まで、次年度に残り15名を募って、引き続き臨床研究を行う予定である。したがって次年度の研究費は、追加の鍼の製作・滅菌等の費用のほか、残りの研究参加者募集、鍼治療費、検査費用等に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Double-blinding of an acupuncture randomized controlled trial optimized with clinical translational science award resources.2020
Author(s)
Alana D Steffen, Larisa A Burke, Heather A Pauls, Marie L Suarez, Yingwei Yao, William H Kobak, Miho Takayama, Hiroyoshi Yajima, Ted J Kaptchuk, Nobuari Takakura, Diana J Wilkie, Judith M Schlaeger
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Journal Title
Clinical Trials
Volume: 17(5)
Pages: 545-551
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 東京有明医療大学附属鍼灸センターの受療患者像(第3報) テレビ情報を契機に来院した患者の特徴2020
Author(s)
水出靖, 木村友昭, 松浦悠人, Chuluunbat Oyunchimeg, 菅原正秋, 高梨知揚, 高山美歩, 谷口博志, 藤本英樹, 矢嶌裕義, 古賀義久, 安野富美子, 坂井友実
Organizer
第69回全日本鍼灸学会学術大会
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