2021 Fiscal Year Research-status Report
非特異的腰痛患者に対する鍼の効果-世界初のダブルブラインド・プラセボ対照臨床試験
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17K09329
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
矢嶌 裕義 東京有明医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00563412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 知揚 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (10563413)
高山 美歩 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (20563414)
高倉 伸有 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (60563400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ダブルブラインド鍼 / 非特異的腰痛 / 筋電図 / レントゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非特異的腰痛患者を対象とし、患者および鍼治療を行う術者(鍼灸師)が、その治療が本物の治療か否かが分からない状態(二重盲検下)で鍼治療を行い、客観的指標を用いてその効果の観察を行うことを最大の目的とした、プラセボ対照ランダム化比較試験である。この研究で用いる最も重要なダブルブラインド鍼は、プロトタイプの改良を重ねた結果、完成品の製作に成功した。 2020年度に続き2021年度も、SARS-CoV-2感染症に伴う緊急事態宣言などが長期間に渡って発令されていたため、臨床研究の実施施設である本学附属鍼灸センターにおける、患者の受け入れ時間や治療を行うスタッフの人数が制限されていた。このような状況下であったため研究実施に大幅な遅れが生じたが、様々な工夫を講じながら臨床研究を進めていった結果、2021年度までに研究当初の目標患者数(60名)の研究を終えることができた。 2021年度はこれらのデータ解析を行いながら、前年度までに組み入れ基準に該当しなかった患者の追加研究の一部を実施し、全体で63名の患者の研究を終えた。しかし、データ解析を詳細に進めた結果、本研究の組み入れ基準に該当しなかった患者が、現時点では全体で、側弯症患者2名、Flexion Relaxationが消失しない患者9名、その他3名の計14名となったことが確認されたため、2022年度も本研究費の許す限り患者を募り、臨床研究を追加で実施していく予定である。 また2021年度は、本研究のプロトコル論文の作成を終え、共同研究者とのディスカッションをしながら投稿の準備を行った。 2021年度は、鍼の製作と滅菌、研究補助者への謝礼金のほか、患者募集、鍼治療やレントゲン検査などの臨床研究実施、研究データ保存用の消耗品に係る費用に、本研究費を充てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究が遅れた理由は、以下の2つである。 1) 本学附属鍼灸センターではSARS-CoV-2感染症の感染対策として、1つの治療ブースに入室できるスタッフの人数を制限しながら運営を行っていた。そのため、治療前後での筋電図の測定や施術者のダブルブラインド鍼の操作状況の確認などを行うことに対しての人員的な制約があったため、臨床研究の実施に大幅な遅れを生じた。しかし、当初の目標患者数を上回る、63名の非特異的腰痛患者に対する臨床研究を行うことができた。 2) 63名の患者の臨床研究を終えることができたものの、14名が研究参加の除外基準に該当することが確認されたため、当初の目標人数の60名を満たすためには追加で11名の研究を実施する必要が生じた。そのため2022年度には、研究に参加を希望する患者を追加で募り、研究を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究参加者(患者)の追加の募集については、これまでと同様に、本学に併設されている附属鍼灸センター(臨床施設)の外来患者を対象とし、その他からの患者の募集についても、本学周囲の大型集合住宅、商業施設、スポーツジム、江東区の公共施設等への患者募集のポスター掲示やチラシ設置を行うことにより、近隣住民への告知と患者リクルートを予定している。 またSNS上の大学アカウントから定期的に募集を告知すると同時に、大学ホームページ上でも参加を促している。 SARS-CoV-2感染症問題に対しては、研究の補助を行うスタッフの人数を絞ることにより三密を防ぎ、マスクと手袋の着用を義務付け、感染症対策を講じながら残りの臨床研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の組み入れ基準に該当しなかった患者が、現時点では全体で計14名となることが確認されたため、2022年度は残りの患者11名(予定)の臨床研究を追加で実施するための費用(鍼の製作と滅菌、研究補助者への謝礼金、患者募集、鍼治療やレントゲン検査などの臨床研究実施、研究データ保存用の消耗品)や、海外雑誌に論文を投稿するための費用に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)