2017 Fiscal Year Research-status Report
Prevention of frailty using Japanese style diet and Mediterranean diet adherence
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17K09339
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
金内 雅夫 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40191986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 満 畿央大学, 健康科学部, 助教 (80460939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フレイル / 日本食 / 健康長寿 / 腸内細菌叢 / 食習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
フレイル(高齢者の虚弱状態)は健康長寿の重要な阻害因子の一つとされており、その進展には加齢に伴う慢性炎症および腸内細菌叢の異状が深く関与していると推測される。日本食は健康食として種々の食品を含み抗炎症効果が期待でき、腸内細菌叢にもよい効果があるのではないかと考えられる。本研究の目的は、高齢者でのフレイル予備群からフレイルへの進展予防効果に対する日本食型食習慣の有用性を明らかにし、併せて腸内細菌叢の分析によりそのメカニズムを解明することにある。地域在住の高齢者を対象として、生活習慣調査、身体計測、身体機能測定(握力および歩行速度を含む)、食事調査、認知機能・低栄養状態の評価、腸内細菌叢の分析を行った。フレイルの状態は体重減少、筋力低下、歩行速度の減退、主観的活力低下、活動量減少により判定した。食事調査により食品摂取量および主要栄養素の摂取量の分析から主要な食事摂取パターンを抽出し、日本食スコアを構築して適合度合いを評価した。腸内細菌叢は対象者から便を採取し、主要菌種プライマーを用いて16S rRNA遺伝子部分塩基配列を解析した。初年度の分析において、腸内細菌のファーミキュテス門とバクテロイデテス門の比率、ビフィズス菌や酪酸産生菌の占有率、細菌種の多様性などに腸内老化の指標となりうるのではないかと考えられる幾つかの所見が抽出されてきており、さらに対象例を増やして検討していく価値がみいだされた。また、日本食型食習慣の者とそうでない者の生活習慣や認知機能・低栄養状態の差異も幾つか抽出されつつあり、次年度以降は対象例数の上乗せに加えて、フレイル予備軍からフレイルへの進展経過について経年的に追跡していくことにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域在住高齢者は1回当たり10~15名の対象者をリクルートし、平成29年度において6回の現地調査を実施した。被験高齢者のリクルート方法および現地調査における身体機能測定(握力および歩行速度を含む)や食事調査(聞き取り調査)の実施体制は概ね確立できたと考える。食事調査と腸内細菌叢の結果において、飽和脂肪酸摂取と腸内細菌叢のファーミキュテスとバクテロイデスの比率、水溶性食物繊維の摂取量と乳酸菌・ビフィズス菌の占有率など基本的な関連性は確認できている。現在、日本食型食習慣の抽出と腸内細菌叢の特色について分析中である。初年度の横断調査としては非フレイル群、フレイル予備群、フレイル群でのサンプル数の偏りがあるため、食習慣および腸内細菌叢との明確な関連性までは捉えられていないが、腸内老化の指標となりうる幾つかの所見や認知機能との関係などにも興味ある所見が抽出されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において現地調査の実施体制は概ね確立できたと考える。腸内細菌叢の分析においても腸内老化と関連する新たな知見が得られつつある。食事調査においても日本食型食習慣をはじめとする主要な食事摂取パターンを抽出することに成功している。したがって、研究の方向性については概ね妥当なものと考えている。しかし、初年度のベースライン調査では非フレイル群、フレイル予備群、フレイル群でのサンプル数の偏りがあったため次年度も引き続き同様の体制にて現地調査を行い、ベースラインデータ数を集積する必要がある。また、次年度はベースラインデータの上乗せに加えて、フレイル予備軍からフレイルへの進展経過についての経年的な追跡調査も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
地域在住の高齢者を対象とした現地調査は生活習慣調査、身体計測、身体機能測定、食事調査、認知機能・低栄養状態の評価、腸内細菌叢の分析など多岐にわたるものであり、調査チーム体制の構築および現地調査フィールドの交渉・確立に若干の期間を要した。その後は1回当たり10~15名の対象者をリクルートし、平成29年度内に6回の現地調査を実施しているが、初年度に予定していた調査人数・調査回数の目標に至らなかった。そのため、一部を次年度に繰り越してベースラインデータの症例数をしっかりと集積する必要があると考えている。繰り越した助成金は、現地調査に係わる調査会場借り上げ費、調査補助員謝金、採便容器チューブ、腸内フローラ解析、栄養調査費用に充当するものとする。
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Research Products
(9 results)