2021 Fiscal Year Research-status Report
Prevention of frailty using Japanese style diet and Mediterranean diet adherence
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17K09339
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
金内 雅夫 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (40191986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 満 畿央大学, 健康科学部, 助教 (80460939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本食 / 高齢者 / フレイル / 腸内細菌叢 / 地中海食 / 食事炎症性 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本食は健康食といわれ、抗炎症効果が期待でき、腸内細菌叢にもよい効果があるのではないかと考えられている。地中海食もまた健康食といわれ、生活習慣病の予防、癌予防、認知症の予防など有益な効果があることが広く世界中で確認されている。一方、フレイル(高齢者の虚弱状態)は健康長寿の重要な阻害因子の一つとされており、その進展には加齢に伴う慢性炎症および腸内細菌叢の異状が深く関与していると推測される。本研究の目的は、高齢者でのフレイル予備群からフレイルへの進展予防効果に対する日本食型食習慣ならびに地中海食の有用性を明らかにすることにある。地域在住の高齢者を対象として、生活習慣調査、身体計測、身体機能測定、食事調査、認知機能・低栄養状態の評価、腸内細菌叢の分析を行った。フレイルの状態は体重減少、筋力低下、歩行速度の減退、主観的活力低下、活動量減少により判定した。食事調査により食品摂取量および主要栄養素の摂取量の分析から日本食や地中海食など主要な食事摂取パターンを抽出した。日本食は健康長寿に寄与するところが大きいと考えられるが、日常的に食している日本食型食習慣を適切に評価するための指標に欠けることから、簡単に評価できる日本食スコアの開発が重要になると思われた。われわれは10項目の日本食スコア(野菜、大豆、漬物、海藻、魚、米飯、味噌汁、緑茶、和菓子、肉・加工肉)を新規に構築し、その有用性について検証することにした。さらに、食事由来の炎症惹起性は加齢炎症を促進させフレイルの要素であるとの考えもある。食事炎症性を考慮した視点から、バランスの良い食事とは何かを考え、日本人の食習慣に適した16食品からなるエンピリカル食事炎症性スコアを新たに構築し、その応用可能性についても実証することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域在住高齢者を対象に平成29年度から現地調査を開始した。現地調査では身体機能測定(握力および歩行速度を含む)、食事調査(聞き取り調査)、認知機能検査、採便による腸内細菌の分析等を実施した。初年度(平成29年度)の分析では腸内細菌のファーミキュテス門とバクテロイデテス門の比率、ビフィズス菌や酪酸産生菌の占有率などに腸内老化の指標となりうるのではないかと考えられる幾つかの所見が抽出されてきており、平成30年度にはプレボテラ菌種と食習慣の関連や地中海食型食習慣例での腸内細菌叢について検討した。また、日本食型食習慣の者とそうでない者の生活習慣や認知機能・低栄養状態の差異も幾つか抽出されつつある。研究の基盤となる地中海食アドヒアランスを適切に評価する方法について、われわれは日本人の食生活に適応した地中海食スコアを開発し、すでに国際学術雑誌に発表しているところであるが、日本食型食習慣を抽出する日本食スコアの構築について、平成31年・令和1年度はその確立を目指し、国際学術雑誌には発表した。さらに食事炎症性スコアの開発に関する研究成果についても国際学術雑誌に投稿した。令和2年度ならびに令和3年度は既存調査例についてフレイル予備軍からフレイルへの進展経過についての追跡調査を実施することを計画していた。しかし、新型コロナのパンデミックにより、高齢者を対象とした集団での現地調査が実施不可能となり、研究計画を変更せざるを得なくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスパンデミックが想定以上の長期間となり、すでに2年以上の期間に渡り高齢者を対象とした集団現地調査が不可能な状況となってしまった。初年度(平成29年度)において現地調査の実施体制は概ね確立でき、その後の平成30年度・31年度を含め延べ14回の現地調査を実施して相当数の対象例を集積しつつあった。同時に食事調査で日本食型食習慣をはじめとする主要な食事摂取パターンを抽出することに成功しており、腸内細菌叢の分析でも腸内老化と関連する新たな知見が得られつつある。したがって、研究の方向性については妥当なものと考えている。平成31年・令和1年度は日本食型食習慣を抽出する日本食スコアの構築について論文発表を行った。令和2年度・令和3年度は既存調査例に対してフレイル予備軍からフレイルへの進展経過について追跡調査を実施する予定であった。本研究は地域在住高齢者の方々に集まっていただいて、身体計測や体力測定、認知テストなどを集団で調査する方法をとっていたため、新型コロナウイルスパンデミックの影響で当該時期での集団現地調査が不可能となった。そのため令和4年度に研究期間を延長したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスパンデミックが想定外の長期間に及び、その影響で地域在住高齢者を対象とした当該時期での現地集団調査が不可能となった。感染状況を慎重に見極めながら、現地調査の時期を繰り下げて実施する必要が生じたため、期間を延長して研究したい。繰り越した助成金は、現地調査に係わる調査会場借り上げ費、調査補助員謝金、栄養調査費用、国際学術雑誌への投稿に必要な費用に充当するものとする。
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