2018 Fiscal Year Research-status Report
The effects of Dysbiosis on intestinal stem cells, inflammation, and cancer
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17K09347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神宝 隆行 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (90791591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60777655)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸炎 / Dysbiosis / 消化管幹細胞 / Notch経路 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスモデルを用いて腸管Dysbiosisが腸粘膜の恒常性および腫瘍発生に及ぼす影響を解析した。すでに樹状細胞のTgfbr2シグナルの異常によって上皮中のNotch経路の異常活性化がもたらされ、それによって炎症が促進されることを報告していたが、今回Tgfbr2シグナルの異常をもつ樹状細胞中の遺伝子発現を網羅的に解析することで、樹状細胞中のCdh1遺伝子の発現が亢進していることがわかった。実際、Tgfbr2シグナルの異常とともにCdh1遺伝子を樹状細胞中でノックアウトすることで、上皮中のNotchシグナルは減弱化し、腸炎の改善が認められた。In vitroの樹状細胞と上皮オルガノイドの共培養系を構築し、上皮中のNotchシグナルをモニタリングしたところ、樹状細胞と上皮がカドヘリンタンパクを介して直接結合することで、Notchが活性化することがわかった。E-カドヘリンの中和抗体投与により、上皮中のNotch活性化を抑え、腸炎を改善させることも可能であった。 また、Notchシグナルが腸上皮幹細胞・前駆細胞に与える影響を解析したところ、Notchの恒常的活性化によって内分泌系前駆細胞が幹細胞様細胞へ脱分化することがわかったが、Notch活性型幹細胞様細胞からは内分泌系細胞は供給されず、吸収上皮系の細胞のみが供給されていた。このようなNotch活性化と吸収上皮系への分化促進は、ドキソルビシンによる上皮障害モデルでも認められた。さらに、Apc遺伝子のノックアウトを併用することで、Notch活性型内分泌系前駆細胞が腫瘍起源細胞として働くことも明らかにした。 以上の結果は国際誌であるJournal of Crohn's and colitis、Gastroenterologyに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞を介した上皮中Notch経路の活性化メカニズムと腸炎との関連、およびそれらが上皮中幹細胞・前駆細胞へ与える影響を解析・報告することができており、順調に推移していると考える。確立したIn vitroでの共培養系については今後の他の解析にも使用可能なものであり、有用な評価系であると考える。また、腫瘍形成とNotch経路の関連についても明らかにすることができ、こうした相関が一部のヒト大腸癌でも存在する結果も示唆されており、臨床的にも有用な解析結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
樹状細胞がTgfbr2シグナルの異常活性化を起こす原因について、他の血球細胞や外的要因などとの関連も含めて検討していきたい。 Dysbiosisの中でどの原因菌が重要であるかについて、より詳細な解析によって特異的な菌の同定を試みたい。 ヒトの便中・あるいは粘膜中の細菌層を調べることにより、各疾患との相関やそのメカニズムについて考察を加えていきたい。
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Research Products
(4 results)