2017 Fiscal Year Research-status Report
胃発癌におけるオートファジーの機能解析と予防への応用
Project/Area Number |
17K09348
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大谷 昌弘 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (20372500)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | オートファジー / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコバクターピロリ菌感染による炎症性発癌モデルの一つであるガストリントランスジェニックのINS-GASマウスを用いて、胃発癌機序におけるオートファジーの作用を明らかにし、その調節によって発癌抑制が可能かどうかについて明らかにすることが本研究の目的である。 29年度は、INS-GASマウスにヘリコバクターピロリ菌を感染させ、4週後と28週後に解剖を行って胃組織の評価を行った。感染28週後のマウスは非感染マウスと比較して病理組織学的に高度の炎症細胞浸潤、過形成、胃底腺の萎縮ならびに高度異形成が認められた。一方、感染4週後においては感染と非感染マウスの間の組織学的な差は軽度の炎症細胞浸潤のみであった。 オートファジーマーカーであるATG5とBeclin-1の発現を免疫組織化学で検討したところ、感染28週後では、ATG5とbeclin-1はいずれも胃粘膜組織の腺上皮細胞の細胞質内に発現しており、ヘリコバクターピロリ菌感染マウスの方が非感染マウスよりびまん性、かつ強度である傾向が認められた。また、感染4週におけるATG5とBeclin-1の発現は軽度であり、感染と非感染マウスでの差は乏しかった。 以上よりINS-GASマウスにおいてヘリコバクターピロリ菌感染により前癌状態である高度異形成が発生し、感染の持続によって時間の経過とともに、オートファジーが胃粘膜の腺上皮細胞に強く誘導されるという結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染実験のサンプルを用いて、Q-PCR法でオートファジーマーカーの解析を行い、引き続きオートファジーの調節実験を行う予定。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、オートファジーの促進剤・抑制剤をマウスに投与した感染実験を遂行する予定。
|