2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanism of lymphomagenesis and identification of tumor origin in duodenal follicular lymphoma
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17K09349
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮崎 香奈 三重大学, 医学系研究科, 助教 (60571627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 素子 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50359767)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 十二指腸濾胞性リンパ腫 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
十二指腸濾胞性リンパ腫 (DTFL)は消化管に限局し、節性に広がる濾胞性リンパ腫 (FL)とは異なり非常に予後良好である。節性濾胞性リンパ腫は発症時、再発・形質転換時の遺伝子異常の発生時期に順序があることが明らかになり、ヒストン蛋白・クロマチンリモデリングに関わる遺伝子は発症時から高頻度に認められる一方、形質転換時には細胞増殖に関わる遺伝群やNF-kappaBシグナルに関わる遺伝子群の異常が特徴的に認められる。近年、節性FLの予後予測モデルとして、7つの遺伝子変異と臨床的予後因子と組み合わせたm7-FLIPIが提唱されているが、DTFLを用いた研究は多くない。そのためDTFLの腫瘍形成過程、及び予後良好性の理由及び節性FLとの相違性を明らかにすることを目的に検討した。すでに凍結保存されている検体を加えたDTFLの該当患者16人から研究同意を取得した後に、その残余腫瘍組織を用いてDNA抽出を行った。得られたDNAを使用しAmpliSeq Comprehensive Cancer Panel を用いてがん関連遺伝子409遺伝子による網羅的変異解析を行った。MEF2Bについてはダイレクトシークエンスを行い解析した。また組織FISH法にて腫瘍形成の初期段階で認められるとされるIgH-BCL2転座について解析を行った。その結果、14例でIgH-BCL2転座を認め、節性FLと同様の頻度であった。しかしながら形質転換時に認められる遺伝子変異はすべての症例で認めず、またKMT2D、CREBBP、EZH2などのlymphomagenesisに関連する遺伝子の変異の頻度が節性FLと異なることが明らかになった。m7-FLIPIについては全例low riskであった。今回の検討で、m7-FLIPIはDFLにおいても有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十二指腸濾胞性リンパ腫に対する網羅的遺伝子変異解析は順調に遂行できている。一方遺伝子変異が臓器特異的な変化かどうか探索する解析について、十二指腸浸潤を認める濾胞性リンパ腫以外の新規のリンパ腫患者がおらず、平成30年度に計画していた解析は施行できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
十二指腸濾胞性リンパ腫の研究で同定された遺伝子変異に関する研究成果をさらに発展させるため、他の消化管リンパ腫における腫瘍化責任遺伝子変異の相同性を検討する。これにより得られた遺伝子変異が臓器特異的な変化かどうかを探索する。すでに論文発表及びデータベースにより蓄積されているMALTリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫において、消化管浸潤を認めているものを抽出し、本研究で得られた遺伝子変異との差を確認する予定である。また遺伝子変異の有無と実際の臨床病態、病理組織学的検討を加えるために、検索を行った病理組織標本で表面抗原検索などの差異を検索する。
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Causes of Carryover |
平成30年度で施行した遺伝子変異の有無と病理組織学差異を検索するため、実際に使用した患者の病理組織標本において表面抗原検索などの実験に使用する予定である。
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