2017 Fiscal Year Research-status Report
ピロリ菌感染症抗体群抗原エピトープ解析~感染から胃発癌まで
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17K09353
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
赤田 純子 大分大学, 医学部, 助教 (30346548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和成 大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
山岡 吉生 大分大学, 医学部, 教授 (00544248)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 血清抗体 / CagA / 抗原エピトープ / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
Helicobacter pylori(ピロリ菌)は長い慢性感染を経て胃癌を誘導する。本研究では検査材料として血清を試料とし、胃癌のバイオマーカーとなる抗体の探索を目標とし、血清抗体が反応するピロリ菌抗原蛋白質を同定してきた。胃癌発症に深く関与するピロリ菌病原蛋白質CagAは、最も主要な抗原蛋白質の一つである。今年度は、CagAアミノ酸配列を切り分け、どの部分が最も主要な抗原エピトープであるか明らかにする。 ヒト血清は、大分大学病院にて採取されたヒト血清190試料を用いた。Hp(-)血清は初診(除菌治療前、Negative試料)57試料と、再診(除菌後、Eradicated試料)71試料の2グループに分類した。Hp(+)血清(Positive試料)は62試料であった。 網羅的CagAペプチドELISAを作るに当たり、解析済み大分大学分離ピロリ菌114株のピロリ菌ゲノム情報を利用し、CagAアミノ酸配列の多様性を把握して、最も頻度の高いアミノ酸を採用したCagAコンセンサス配列を作成した。これに基づき、CagA蛋白質の網羅的抗原エピトープペプチドを87ペプチドをデザインし、外注にて合成した。 ペプチドを固定化したELISAプレートを作成後、3グループ各9-10血清を用い、全ペプチドELISAを行った。その結果、Negative試料に対しPositive試料で有意に高い反応が17ペプチドで認められた。また、Positive試料に対し、Eradicated試料で有意に低い反応が11ペプチドで認められた。 最も高い値で反応した3ペプチドについて、また既に小児血清で反応を認めた2ペプチドを含む4ペプチドについても、全190血清試料を用いて、ペプチドELISA解析を行った。その結果、2種類のペプチドで、Positive試料に特異的に、極めて有意に高い反応性が再現された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初考えていた通りに、CagA抗原ペプチド候補を、実験的な方法で、同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
有効なエピトープペプチドについては、エピトープペプチドをさらに明確にする。ゲノム解析が済んでいる日本人由来ピロリ菌のCagA 配列から当該ペプチド領域を抽出して比較し、当該エピトープのアミノ酸配列バリエーションを含むペプチドを追加合成し、抗体反応性を数値化して比較する。多数の血清試料を反応させて、各ペプチドの診断能をテストする。
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Causes of Carryover |
本年度は、これまでに購入した網羅的ペプチドを活用してELISAアッセイを行った。今年度の実験の結果が出そろった時点で結果を十分に検討し、新たなペプチドをデザインし、発注する必要がある。高価なペプチドは適切な時期に発注するために、今年度に予算を使い切らず、次年度に回すこととした。
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Research Products
(1 results)