2018 Fiscal Year Research-status Report
ピロリ菌感染症抗体群抗原エピトープ解析~感染から胃発癌まで
Project/Area Number |
17K09353
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
赤田 純子 大分大学, 医学部, 助教 (30346548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和成 大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
山岡 吉生 大分大学, 医学部, 教授 (00544248)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 血清抗体 / CagA / 抗原エピトープ / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人成人血清190試料を用い、網羅的CagAエピトープペプチドを固定化した血清ペプチドELISA解析から、ピロリ菌感染者血清IgGが高く反応する2エピトープペプチド(CagA-c7およびc8)を同定した。血清試料と同一患者から分離したピロリ菌DNAからcagA遺伝子配列を読み、、CagA蛋白質のc7-c8領域のアミノ酸バリエーションとペプチドの血清抗体反応性を比較検討した。さらに、この領域配列を4-6アミノ酸づつずらして、抗原エピトープの最適化を行ない、特許を出願した。c8ペプチドは、反応性の低いc12ペプチドとの間でのキメラペプチドを作り、血清抗体反応性を定量し、さらに反応性ペプチド配列を検証した。以上の内容を含む論文を公表した。 また、両ペプチドを利用しつつ、汎用性のあるペプチドELISA検査薬の試作品を作製し、同一血清試料を用いてテストした。現在の問題点は、ピロリ菌陽性者が全て両ペプチド抗体を持つわけではなく、約40%は抗体価が高いが、50%は低く、10%は極めて低い。現在は、こうした反応性の違いと相関する要因を疾患や年齢性別等、患者情報を分析中である。 一方この間に、消化器内科にて血清の採取は進み、最初の成人血清セットには少なかった胃癌患者血清が確保されてきた。この中の除菌治療前血清159試料を用い、ELISAプレートには、c7やc8ペプチドを含め、予備実験にて反応性の認められた22ペプチドとリコンビナントCagA蛋白質を固定化し、抗体解析を行っている。 アジアの成人血清解析も開始しており、次世代シークエンスによるピロリ菌遺伝子配列解読、全ピロリ菌抗体価、リコンビナントCagA抗体解析も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人血清を用いた解析から、CagAの主要な抗原エピトープを同定し、論文を公表した。また、当初予定していたアジア人血清解析も開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、胃癌患者特異的なCagA抗体バリエーションエピトープ解析を進める。そこから、血清CagA抗体の疾患発症における役割について考察するとともに、疾患発症予測的な血清抗体検査が可能か試みる。 また多くのアジア人血清解析から、様々なCagA蛋白質のバリエーションと、胃疾患進行に及ぼす普遍的なCagAの機能モード、それに対抗する生体免疫反応モードに迫りたい。
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