2017 Fiscal Year Research-status Report
Diagnostic and therapeutic application of p53 family in esophageal squamous cell carcinoma
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17K09354
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 泰史 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70322328)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 食道扁平上皮癌 / p53 / p53ファミリー / p63 / NGS / トランスクリプトーム / 非コードRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
最近のゲノム研究の飛躍的な進展により,がん領域においても遺伝子異常を基にして適切な治療法や発症予防法を開発するprecision medicineが推進されている.予後不良な消化器癌である食道扁平上皮癌ではp53変異が高頻度に認められるが,変異p53自体は治療標的とはならず,有効な分子標的薬も存在しない.本研究では,最も重要ながん抑制経路であるp53ネットワークにかかわるトランスクリプトームの全容をゲノム情報を駆使して効率的に分析し,機能解析へと展開する.さらに発現異常,遺伝子変異の有無,悪性度および治療効果との関連性を解析することで,食道癌の新しい診断・治療予測システムを開発しようとするものである. 本年度は,食道扁平上皮癌3症例,類似疾患として口腔扁平上皮癌2症例について,癌組織,非癌組織,および正常リンパ球から全RNA,DNAを抽出し,RNA-seq(タンパクコード遺伝子・lincRNA発現解析),small RNA-seq(miRNA発現解析),およびexome解析(変異解析)を行った.すでに取得している,食道癌細胞株にp53ファミリーを導入した際のデータとin silicoで統合し,以下の様な特徴のある遺伝子を抽出した. ①がん遺伝子的な働きを持つ変異型p53,およびΔNp63α導入により発現変化し,かつ癌組織で同様の挙動を示す遺伝子 ②がん抑制遺伝子的な働きを持つ野生型p53,およびTAp63γ導入により発現変化し,かつ癌組織で正反対の挙動を示す遺伝子 ③過去の網羅的ゲノム解析を照合し,日本人食道扁平上皮癌に多い遺伝子変異 次年度以降,これらの遺伝子の機能解析を行って行く予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備的解析(細胞株のトランスクリプトーム,および変異解析)は前年度に行っていたため,データ解析は順調に進んだ.p53の新規標的遺伝子としてBreast cancer metastasis suppressor 1-like (BRMS1L) を同定し,転写制御機構およびその機能解析として癌細胞における浸潤能に与える影響を検討した.癌患者においてBRMS1L低発現群で有意に生存率が低下していることから,BRMS1L低発現が予後不良因子と考えられ,その成果はCancer Science誌に掲載された(Cancer Sci. 108: 2413-21, 2017). 癌症例の収集も予定通りに行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
p53ファミリーに制御される非コードRNAとその標的分子は,発がん,がんの進展に関与している可能性がある.さらにその発現はがん組織で変化している可能性が高く,予後,治療効果と相関していることが推測される.p53ファミリーに制御される複数の新規非コードRNAをすでに複数同定しており,今後は機能解析,発現解析を進め,バイオマーカーとしての有用性を検討していく.
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Causes of Carryover |
予備的解析(細胞株のトランスクリプトーム,および変異解析)は前年度に行っており,本年度は癌症例のRNA-seq(タンパクコード遺伝子・lincRNA発現解析),small RNA-seq(miRNA発現解析)の一部のみを行い,データ解析が中心となったため,物品費の節約が可能であった.大学予算の試薬を使用できたため,充分な実験データが得られた.最終的に100万円あまりの次年度使用額が生じた. 使用計画:すでに施行済みのmiRNAの次世代シークエンサー解析,およびp53結合コンセンサス配列の全ゲノム網羅的解析から,p53に制御される非コードRNAの候補を同定している.成果の一部を学術誌Tumor Biologyに投稿し,平成30年3月にrevisionの判定がなされた.再投稿に必要な追加実験を予定するとともに,次年度は研究を発展させるため,癌症例(食道癌,関連疾患として口腔癌)における発現解析,血漿中の発現を解析することにより,消化器癌の新しい診断・治療システムの構築も試みる.さらに3月に開催される米国癌学会での成果報告も計画している. 細胞レベルでの発現・転写解析のための試薬類(次世代シークエンス試薬120-150万円),臨床検体でのRNA発現解析のための試薬類(酵素類20万円,RNAプローブ20-30万),学会出張旅費30万円(米国癌学会,場所アトランタ,2019年3月29日-4月3日)
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Assessment of the quality of DNA from various formalin-fixed paraffin-embedded (FFPE) tissues and the use of this DNA for next-generation sequencing (NGS) with no artifactual mutation2017
Author(s)
Einaga N, Yoshida A, Noda H, Suemitsu M, Nakayama Y, Sakurada A, Kawaji Y, Yamaguchi H, Sasaki Y, Tokino T, Esumi M
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Journal Title
PLoS One
Volume: 12
Pages: e0176280
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Profiling cancer-related gene mutations in oral squamous cell carcinoma from Japanese patients by targeted amplicon sequencing2017
Author(s)
Nakagaki T, Tamura M, Kobashi K, Koyama R, Fukushima H, Ohashi T, Idogawa M, Ogi K, Hiratsuka H, Tokino T, Sasaki Y
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 8
Pages: 59113-59122
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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