2017 Fiscal Year Research-status Report
次世代3D電顕を用いた腸管グリア細胞の神経制御および運動制御機構の形態学的解析
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17K09377
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉田 宏美 名古屋大学, 医学系研究科, 学振特別研究員(PD) (60712817)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞組織学 / FIB/SEM / 腸管グリア細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)を用い、腸管神経系のグリア細胞(EGC)の形態解析を進めている。特に、シナプス終末-後要素-グリアの三者間シナプス構造と呼ばれる機構をEGCも形成するのかに注目し、本年度は、マウス消化管のEGCについて3D解析を行い、解析対象に最適なパラメータを設定するための基本データの取得やEGCの基本的な形態の観察を進めた。FIB/SEM用の固定法を施したマウスの腸管の筋層間神経節を用い、FIB/SEMにより連続スライス像を取得した。その後、3D解析ソフトウェアAmiraでEGCをSegmentation(区画化)した。神経節内の神経細胞あるいはEGCの識別は、細胞質の電子密度、フィラメント構造の違いなどから識別可能である。その結果、細胞体部分から分枝する突起構造を追跡することができた。本研究では、このEGCと神経細胞とのシナプス様コンタクトに注目しているが、神経節内のEGCのFIB/SEM像から、神経終末とEGCのシナプス結合様構造を抽出することが現段階では困難であった。そこで、特にEGCのシナプス結合様構造の存在が想定される特定の神経線維周辺のEGCに注目した解析が必要であると考えられた。蛍光標識された特定の神経線維をFIB/SEM解析すべく、Correlative-Light-Electron-Microscopy(CLEM)法による国際共同研究を計画している。 本研究に関して、日本平滑筋学会の学会企画シンポジウム『先端可視化技術による臓器機能研究の新展開』において招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究遂行の基本的なパラメータの設定のための解析を行った。そこから問題点を抽出し、新たな方策(Cryo-fixationによるCLEM解析)が必要であることを示した。また、本年度得られたデータは、前述の新しい解析法の妥当性検討のために必須のものであり、引き続き形態解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度明らかになった課題をクリアすべく、国際共同研究加速基金にて新たな解析法による研究を進める。具体的には、特定の神経線維が蛍光標識されたマウスを用いた解析を行い、また、効果的に蛍光標識を維持するため、また、特に細胞外間隙が影響を受けやすいとされる通常の化学固定法を用いない、Cryo固定法を腸管に適応することも試みる。
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Causes of Carryover |
試薬の輸入に時間がかかり、年度内に予定していた試薬を入手することができなかったため。翌年度分として試薬入手後、引き続き予定していた実験に用いる。
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