2017 Fiscal Year Research-status Report
Immunophoto therapy targeting cancer stem cell in colorectal cancer
Project/Area Number |
17K09385
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
六車 直樹 徳島大学, 医歯薬学研究部, 准教授 (90325283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (10284994)
岡本 耕一 徳島大学, 病院, 講師 (60531374)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / オルガノイド / 大腸癌 / 光免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌幹細胞を同定するために、徳島大学病院臨床試験センターの承認を得て、ヒト大腸癌より内視鏡下に検体を採取し、様々な臨床的背景(K-ras変異の有無、局在など)を有する大腸癌オルガノイド培養の樹立、継代に成功した。続いて大腸癌幹細胞のマーカーとして代表的かつ重要な役割を担う、CD133, CD44v6, LGR5の免疫染色をオルガノイドに対して行った。いずれの分子も細胞膜に強い発現がみられ、大腸オルガノイドが癌幹細胞の動態を反映することが確認された。 一方、われわれは消化管間質細胞(Gastrointestinal Stromal Tumor:GIST細胞)を用いて免疫不全動物(ヌードマウス、ヌードラット)に対して皮下移植および同所移植モデルを作成し、GIST細胞膜で95%以上に発現するc-KIT抗体をターゲットにした光免疫療法に着手した。本法は腫瘍に対する特異的抗体に光感受性物質をラベルして標識抗体を作成、動物モデルに標識抗体を静脈投与し、IVISで光感受性物質の集積を確認するとともに、腫瘍部位に対して特定の波長でレーザー治療を行うものである。その結果、レーザーの用量依存性に治療効果が得られ、7匹中4匹で完全消失に至った。これは癌幹細胞の光免疫療法に応用する前段階の実験であるが、光免疫療法の安全性と有効性を強く示唆する成績と考えられた。 癌幹細胞においては可塑性を有することが知られていることから、分化の過程で各種の幹細胞マーカーがどのように増減するかを評価する目的で、今後免疫蛍光染色やフローサイトメトリー法、ウェスタンブロッティング法を用いて定量的に評価を行う。これらの検討により得られた基礎的なデータを参考にして既存の治療法と癌幹細胞の動態を明らかにし、光免疫療法への応用へと展開する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オルガノイドライブラリーの検体数が予定よりも若干少なめであるが、樹立培養は順調に行えている。ヒト腫瘍の再現性はヌードマウスに皮下移植モデルを作成し、確認を行った。CD44,CD133,LGR5の発現強度は少ないサンプルながら評価を継続的に行ってきており、今後サンプル数の増加に伴いデータの傾向が明確になると予測する。また、GIST細胞を用いて並行して行った光免疫治療は細胞種は異なるものの、in vitro, in vivoともに良好な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、フローサイトメトリーで各癌幹細胞のマーカーであるLGR5,CD44,CD133の発現強度がどの程度であるかを各オルガノイドで評価する。キードラッグである5-FUやオキサリプラチンを投与することで発現強度に差が出るかどうかを評価する。続いてin vitroで光免疫療法を行う。 免疫不全動物を用いてマウス皮下移植モデル、マウス腹腔内播種モデル、ラット同所移植モデルを作成していく予定である。これら動物モデルに対して光免疫療法を行い、治療効果を評価する。また、既存の治療(殺細胞性化学療法剤)により癌幹細胞の動態(ゲノム変化も含めた)を評価する。 癌幹細胞を個別に治療標的とした場合に他の癌幹細胞が代償的に機能するかどうかを評価する目的で検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
オルガノイドライブラリーの樹立が予定よりもやや遅れたことにより、オルガノイド培養に必要なマトリゲルや培地、構成材料費を翌年度分に移行する必要が生じた。次年度はオルガノイド培養の樹立件数が増加することが見込まれることから、支出実績の累積が予測される。
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