2017 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナル経路を介したCdh1による大腸癌浸潤・転移の制御
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17K09386
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
直江 秀昭 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (30599246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 丈久 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (20634843)
佐々木 裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70235282)
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | qPCR / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大腸癌の浸潤・転移におけるCdh1の役割を明らかにすることを目的としており、まず上皮間葉転換(EMT)について検討した。Cdh1をsiRNAで抑制した大腸癌細胞を用いて、wound healing assay、transwell migration assayによる細胞の運動能・浸潤能を評価したが、コントロールと比較して有意な差が見られなかった。そこで、それらの細胞よりRNAを抽出し、qPCRによりSnail、Slug、Zeb1、Zeb2などのEMTで変化する転写因子の発現を確認した。その結果、Cdh1抑制によりSnailの発現だけが有意に亢進し、他の転写因子では有意な差を認めなかった。この結果は、Cdh1が大腸癌におけるEMTに関与しているとするには不十分であり、再実験に加え、今回検討しなかった転写因子についても解析する必要があると思われる。 また、予備実験の結果から、特にWntシグナル経路を介したCdh1の働きに着目おり、Cdh1抑制大腸癌細胞のRNA用いて、Wnt1, 3, 3A, 6, 9A, 9B, 10A, 10BなどのqPCRを行った。現時点では十分に評価できる結果ではなかったため、実験条件について検討を行っている。 一方、動物実験では、Cdh1のリン酸化抑制型変異マウスで大腸癌発癌実験(AOM-DSS)を予定しており、現在、ヘテロマウスの作製が終了した。ホモ変異型マウスを得るために、ヘテロマウス同士の交配、遺伝子型決定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
以前、解析に用いたCdh1の発現を抑制したマウスは、系統の維持が困難となり一度飼育を終了していたため、新たにマウスを作製する必要があった。そこで今回は、よりCdh1の機能に迫るべく、単なるCdh1発現抑制マウスではなく、Cdh1のリン酸化だけを抑制した変異マウスを用いる方針とした。このマウスは胚の状態で当大学の動物資源開発研究施設に保存してあり、胚より個体を作製する必要があった。この手続きに想定していた以上の時間を要し、当初予想した進捗には至らなかった。現在は、Cdh1のリン酸化抑制型ヘテロ変異マウスが誕生している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、上記のCdh1リン酸化抑制型ヘテロ変異マウスが離乳している。今後は交配によりホモ変異マウスを選び出し、化学発癌物質であるアゾキシメタン(AOM)の腹腔内投与後、2%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を飲水させる大腸発癌実験を行う。Cdh1リン酸化抑制マウスとコントロールマウスの大腸に発生した腫瘍を詳細に比較し、大腸癌発生におけるCdh1リン酸化の役割を明らかにする。
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