2018 Fiscal Year Research-status Report
病態依存的に変動する腸管ムチンの水分保持機構の解明
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17K09392
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
市川 尊文 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30245378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70392389)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | AQP3 / 絶食 / 水チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、ムチンと水チャネルの関連性に焦点を当て、消化器疾患における水分子の位置付けを明らかにするものである。消化管環境が変化することで粘膜保護成分であるムチン量や形質が変動すると予想し、一定時間の絶食でムチンおよびムチンの形態保持に重要な水分への影響を検討した。前年度までには、AQP3という水チャネル分子の発現が上昇するという報告をしたが、今年度は遺伝子発現レベルではなく、タンパク質発現の検出を試みた。前年度同様に、絶食マウスを用いた実験系を用いたが、今年度は、水分子の流入にもっとも重要な飲水量の変化と組織学的変化をまず最初に抑えることとした。絶食後体重は、28%減少し、16時間飲水量は5/1程度の減少が見られた。正常および16時間絶食マウス胃・小腸・大腸を部位別に採取し、形態学的観察による比較を行った。絨毛およびクリプトの細胞数は、絶食後も大きな変化は見られなかったが、絨毛高は低くなる傾向にあったことから、絶食により、上皮細胞の代謝回転が停滞していると考えられた。抗AQP3抗体を用いて、組織の免疫組織化学的染色法を行った。AQP3の発現に関して、絶食0時間でもすでに、空腸絨毛の上皮細胞膜でのみ発現が認められた。一方、絶食16時間では、空腸、回腸両方で、細胞質全体に発現が見られるようになった。つまり、mRNA発現での増加は、発現が増強したという意味合いと、発現局在の広汎化という両方の解釈ができる。これより、絶食下でのAQP3は、外からの水流入の促進以外にも、上皮細胞内の水分子の移動に関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗体がうまくワークしており、免疫染色における条件検討に大きく時間を費やすことなく、進行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度および今年度の実験により、アクアポリン分子の発現変動を捉えた。とくに、絶食時に重要な分子AQP3とムチンとの関連があるかを明らかにしていきたい。特に、PGM34およびHCM31ムチン発現が絶食によりどのように変動するかを検討すると同時に、AQP3を介したムチンへの水分子供給が行われているのかを組織染色とムチン抽出および特定ムチン定量法を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
(理由)絶食モデルの消化管局所は比較的一定の環境となることが明らかとなり、免疫組織化学的染色法の条件検討が順調に進行したため、試薬等のコストを削減できたため。 (使用計画)今後は、アクアポリンとムチンとの関連を明らかにする計画であり、ムチン抽出と定量で使用する分離カラムの洗浄等の消耗品に充当する予定である。
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[Presentation] ヒートショックプロテイン72は血小板活性化因子によって誘導された血小板凝集を促進する2018
Author(s)
鈴木英明, 小菅優子, 石川勇太, 小林浩二, 五十嵐康之, 笹岡悠一, 田近洋介, 黒崎祥史, 井本明美, 石井直仁, 青山直善, 石原和彦, 市川尊文
Organizer
第58年会日本臨床化学会年次学術集会
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