2017 Fiscal Year Research-status Report
感受性遺伝子NKX2-3の基礎・臨床的解析による炎症性腸疾患の病態解明と臨床応用
Project/Area Number |
17K09397
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
高川 哲也 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20444614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 志郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50271185)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / クローン病 / 疾患感受性遺伝子 / NKX2.3 / 実験動物モデル / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、潰瘍性大腸炎やクローン病の疾患感受性遺伝子であるNkx2.3の遺伝子機能を明らかにし、それを基に臨床への応用を目指すことである。Nkx2.3のリスクアレルをもつ患者ではNkx2.3の発現が亢進すると報告されているため、Nkx2.3の高発現が炎症性腸疾患のリスク因子となるのではと想定している。そこでプロモーター領域を含むマウスNkx2.3遺伝子領域をencodeするNkx2.3 BAC cloneを過剰発現させたNkx2.3 transgenic mice (Nkx2.3 Tg)を作製した。そのうち3系統の樹立および繁殖が可能であった。この中で一番Nkx2.3の発現の高いマウスを同定する為realtime PCRでNkx2.3遺伝子のコピー数を推定した。Western blottingも行い蛋白レベルで一番発現が高いと思われる1系統に絞り、繁殖を行い、代表的なマウス腸炎モデルであるDSS(デキストラン硫酸ナトリウム)腸炎を誘導した。DSS腸炎は、マウスのstrainや飼育環境等により、重症度が変化することが言われているが、当大学の実験施設では安定して腸炎誘導が確立できた。Nkx2.3 が過剰発現していないwild type (control)マウスとNkx2.3 Tgマウスの腸炎重症度を比較するとNkx2.3 Tgがやや重症化していた。またマウスより腸管や脾臓等を摘出し、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡にてNkx2.3の臓器ごとの発現を調べた。腸管や脾臓には比較的強く発現しており、またDSS腸炎誘導後は発現の亢進を認めた。realtime PCRでもNkx2.3の発現は蛋白レベルとほぼ同様で、脾臓や腸管で高発現であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定して炎症の起こる腸炎モデルを確立し、またRNAレベルや蛋白レベルでの実験を行うために必要な、realtime PCR用のプライマーや良質な抗体も見つけることができ、進捗状況はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、確立した腸炎モデルを活用し、腸炎誘導後に発現亢進してくる遺伝子群の同定を進めていきたい。腸炎モデルでは、まだnが十分でなく今後反復しデータ強くする必要がある。またマウスや細胞株など種々のマテリアルを活用し、転写因子としてのNkx2.3 の機能をRNAレベル、蛋白レベルで解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、現在研究室にある古い試薬やキットを優先的に用い節約を行ったため次年度使用額が生じたが、今後多数回に渡り多量に消費する予定の試薬の使用量を、メーカー推奨量より減らしても十分workすることが確認できた。平成30年度以降においては、高額なキット等の購入が必要となる予定である。またこれらの実験で軌道に乗るとさらに多くの消耗品が必要になると考えている。
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