2018 Fiscal Year Research-status Report
肝癌幹細胞のエキソソーム分泌を介した微小環境調節の新規機序の解明と治療応用
Project/Area Number |
17K09401
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小暮 高之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70400330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 賢治 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00736332)
嘉数 英二 東北大学, 大学病院, 助教 (20509377)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法耐性の主因である癌幹細胞とその微小環境は有望な治療標的であり、我々はこれまでに、肝癌の癌幹細胞がEpCAM陽性分画に存在することを証明し、さらに、肝癌細胞がエキソソームを用いて機能性RNAを輸送することによりその微小環境を調節することを明らかにした。本研究では、肝癌幹細胞のエキソソームを介した微小環境の調節機構を解明し、介在する機能性RNAを同定したうえで、このRNA分子の阻害剤の抗腫瘍効果を明らかにし、RNA創薬としての臨床応用をめざす基盤を確立することを目的とする。 肝癌細胞株PLC/PRF/5, Hep3B, Li7をセルソーターを用いてEpCAM陽性細胞、陰性細胞に分離回収し、超低接着表面加工のプレートに特殊培地を用いて培養した。EpCAM陽性細胞群はスフェロイド状の細胞集塊を形成が認められた。培地交換を3-4日ごとに行うことで、このスフェロイド状の細胞は、少なくとも2週間の培養が可能であった。EpCAM陰性細胞では細胞集塊の出現はなかった。一方、セルソーターを用いずに超低接着表面加工のプレートに特殊培地を用いて培養し、形成された細胞集塊を回収して新たなプレートに継代することを複数回繰り返した。集塊を形成した細胞のEpCAM陽性率は約80%と高率であり、セルソーターを用いた場合と同様に癌幹細胞が濃縮されていると思われた。 それぞれの方法で調整した細胞集塊の培養上を用いて含有する微小粒子をアナライザーを用いて解析し、およそ80-120 nmのサイズのエキソソームと思われる微小顆粒の存在を確認した。培養上清中から抽出キットを用いてエキソソームを回収し、RNA抽出を行った。エキソソーム中のRNAに含まれるsmall RNAとして、癌幹細胞と同様に18SrRNA, snoRNA U6, U43が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セルソーターを用いての癌幹細胞濃縮は煩雑であり、肝癌細胞株PLC/PRF/5以外の細胞種ではスフェロド様細胞集塊の形成が認められなかったため、セルソーターを用いない方法を複数の細胞種で試みることとした。最終的に肝癌細胞株PLC/PRF/5, Hep3B, Li7でスフェロイド様細胞集塊を形成することが出来たが、プレートや培地の種類など、それぞれの細胞株で条件が異なり、至適化にいたるまでに多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに遂行する予定だが、上記の理由で大幅な遅れが生じており、解析する細胞株の種類を少数に絞る対応を検討する。
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Causes of Carryover |
平成30年度に予定していた肝癌幹細胞の分泌するエキソソームに特異的なRNA 分子を同定する網羅的検討を行えなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は平成31年度の助成金と合わせて、肝癌幹細胞の分泌するエキソソームに特異的なRNA 分子を同定する網羅的検討に係る次世代シーケンスとlong non-coding RNAカスタムアレイの費用として使用する計画である。
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