2017 Fiscal Year Research-status Report
肝細胞脂肪毒性における内臓・皮下脂肪組織由来アディポソームの役割とその制御機構
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17K09402
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
西島 亜紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40566105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 修二 佐賀大学, 医学部, 教授 (80188755)
大森 泰文 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90323138)
山本 洋平 秋田大学, 医学部, 助教 (70400512)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪毒性 / アディポソーム / エクソソーム / 内臓脂肪組織 / 皮下脂肪組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,内臓脂肪組織が特異的に肝細胞にアポトーシスと脂肪滴蓄積,すなわち脂肪毒性を誘導することを報告した。この仲介因子として,脂肪細胞が分泌するエクソソーム(アディポソーム)を考えている。そこで,ラットの内臓脂肪組織(VAT),皮下脂肪組織(SAT)を採取し,コラーゲンゲルに脂肪組織片を包埋して3次元培養を行い,その培養上清から,エクソソーム回収試薬を用いてアディポソームを精製した。VAT由来アディポソームはSAT由来アディポソームの約6倍の蛋白量を示した。平均径はそれぞれ129 nm,143 nmであった。電子顕微鏡によるアディポソームの観察も行ったが,形態的な相違は認めなかった。次に,精製したアディポソームを,HepG2肝細胞単層培養の培養液に添加し,脂肪毒性誘導実験(in vitro実験)を行った。48時間観察したが,明らかな形態変化は認められなかった。そこで,細胞増殖/細胞毒性測定用試薬(Cell Counting Kit-8)を用いて,アディポソームが肝細胞の増殖・生存に与える影響を解析したところ,高濃度のVAT由来アディポソームが肝細胞の増殖を抑制する傾向があった。一方,高濃度のSAT由来アディポソームは影響しなかった。 以上,VATはSATよりも多くのアディポソームを産生していることを明らかにした。また,VAT由来アディポソームのみでは肝細胞にアポトーシスを誘導するほどの十分な脂肪毒性を誘導しないものの,脂肪毒性の仲介因子として作用している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂肪組織が産生するエクソソーム(アディポソーム)量は癌細胞株などに比し非常に少量であり,頻回に動物実験を行う必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
VAT,SAT由来アディポソームからRNAを抽出し,microRNAの解析を行う。これにより脂肪毒性を制御している可能性のあるmicroRNAとそのターゲットを探索する。 また,過去の予備実験から,アディポソームは肝細胞の脂肪酸取り込みを制御している可能性を考え,脂肪酸輸送分子の発現を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
進捗状況がやや遅れており,マイクロアレイ等の高額の受託解析を次年度に行うこととしたため。
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