2019 Fiscal Year Research-status Report
HBV感染細胞の脂質クオリティ解析から展開する肝疾患治療の研究
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17K09403
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上野 紀子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90546631)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HBV / 脂質 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は前年度から引き続きノンターゲット法による新奇脂質の探索を、Vion IMS Q-Tof (waters) の HDMSE で試みるため、その測定系と解析系の構築を解析ソフト UNIFI (waters) を用い試みた。 Vion のデータがオートピッキングにしか対応しないため、液体クロマトグラフィー (LC) のピーク形状を使用するカラムなどの工夫によりテーリングの強いごく一部の脂質を除きオートピッキング可能なレベルに改良し、溶媒の工夫により親水性の高めな脂質から疎水性の高い脂質まで網羅的に溶出可能な LC 系を構築し用いていることが特色である。 UNIFI で解析を行うために成分リストの構築を引き続き行いデータベースを拡張した。成分リスト登録に必要なイオンモビリティの値である衝突断面積 (CCS) のデータベースを作成するなか見出した、イオンモビリティの新たな法則性について学会発表を行った。 また1つの分子1つの質量であるのに CCS が複数存在する現象を見出した。検証の結果、結合様式は不明であるが二量体で1価イオンになっている場合は本来より高値の CCS も、フラグメンテーションが発生した場合には本来より低値の CCS も検出されることが分かった。化合物の構造により異なるこの現象への理解により、未知分子の分析においてイオンモビリティが新奇化合物の構造推定に役立つこともわかってきた。 イオンモビリティの新たな法則性については、現在データの精度をさらに高めているところであり、結果は投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器トラブルと、申請者の入院のため実験の進捗がやや遅れている。機器トラブルはランダムに発生する検出器のブレークダウンで、メーカーとしても初のトラブルとのこと。エンジニアの方にも連日対応してもらっていたがトラブル発生から7か月後に代替機導入することで実験再開が可能となった。申請者も完治しており、両トラブルはクリアできている。これらのことから実験計画を1年延長し、今年度は昨年度の計画を引き続き進める。
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Strategy for Future Research Activity |
ピーク形状の改良と、標品を用いたデータベースの構築により、ノンターゲット法の分析基盤は整いつつある。データ解析ソフト Progenesis QI (nonlinear) の活用も模索しつつ、HBV感染細胞サンプルで変動する新奇化合物の探索を試みる。
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Causes of Carryover |
機器トラブルと申請者の体調不良のため、実験推進が遅れたため。機器は代替機導入で、体調は手術で完治しており、遅れた原因は解消できている。
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Research Products
(1 results)