2018 Fiscal Year Research-status Report
7,8-ジヒドロキシフラボンのNASHにおける病態改善メカニズムの解明と治療応用
Project/Area Number |
17K09409
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
川合 弘一 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80419291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
上村 顕也 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00579146)
山際 訓 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (10419327) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MC4R-KOマウス / 7.8-DHF / アルコール性肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヒト非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のモデルであるメラノコルチン4受容体ノックアウト(MC4R-KO)マウスを用いて、BDNF受容体であるTrkBに対するアゴニストの7,8-ジヒドロキシフラボン(7.8-DHF)によるNASH病態改善作用およびそのメカニズムを解明することである。野生型マウスとMC4R-KOマウスに高脂肪食を負荷し、同時に7,8-DHFを与えた群と、与えなかったコントロール群を作成し、20週間後に肝臓、骨格筋、脂肪、血液などの検体採取を行った。MC4R-KOマウスは、野生型マウスに比べ、20週間後に有意に体重が増加した。しかし、MC4R-KOマウスで7,8-DHFを与えた群と与えなかった群の間には、20週間後の体重や肝重量、内臓脂肪重量には両群間で有意差を認めなかった。肝組織像では、7,8-DHF群で脂肪沈着や線維化面積が軽減している傾向がみられたが、有意差は認めなかった。また肝線維化に関わるTGF-β1、MMP2、Col1a1の肝組織中mRNA発量は、両群間で有意差を認めなかった。血液生化学検査でも、AST、ALT、中性脂肪、総コレステロール値に有意差を認めなかった。NASHモデルにおける7,8-DHFの病態改善効果はかなり限定的であり、新規治療法として開発を進めていくのは困難と考えた。しかし、MC4R-KOマウスはヒトNASHの全身病態に酷似しており、NASHモデルマウスとして非常に有用性が高いことが確認できた。これまでの基礎データを活用しながら、現代社会のライフスタイルに即して少量アルコール負荷を加えたNASHモデルも追加作成し、NASH発症への少量アルコールの関与とそのメカニズムにつき解析する計画に変更し、解析を進める方針とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NASH発症への少量アルコールの関与とそのメカニズムにつき解析する方針へと計画を軌道修正した。 MC4R-KOマウスに高脂肪食とアルコール濃度5%、10%、または20%を含む水を与えたアルコール負荷群を8週間飼育し、体組成変化や脂質代謝、炎症マーカー、ERストレスマーカーにつき検討した。20%アルコール群では、体重増加は他の群に比べ有意に低く、肝重量も低い傾向だった。5%および10%アルコール群では、体重増加はコントロールとほぼ同様だったが、肝重量は増加傾向で、白色脂肪重量は減少しており、アルコール負荷により全身の脂肪分布が変化していることを見出した。肝組織中の脂質代謝関連遺伝子のmRNA発現をみたところ、10%アルコール群はコントロールと5%アルコール群に比べ、脂質異化(PPARa、CPT-1a)、脂質合成(SREBP1c)、VLDL分泌(MTP)に関連する遺伝子発現が全て亢進していた。 計画修正に伴い進捗状況としては遅れているが、現時点で新たな知見が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画修正に伴い進捗状況としては遅れているが、興味深い新たな知見が得られてきており、現行の計画で進めていく方針である。 今後、アルコール負荷群とコントロールの肝組織と白色脂肪組織を用いて、CAGE(cap analysis of gene expression)法にて、網羅的な遺伝子発現の変化を解析する予定である。脂質代謝だけでなく、糖質代謝、炎症マーカー、ERストレスマーカーなどの遺伝子発現と病態との関連につき解析を進める予定である。このうち興味深い遺伝子発現変化を示すものについては、蛋白発現やその発現制御メカニズムについても検討を進めたい。
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