2017 Fiscal Year Research-status Report
核酸アナログ製剤によるサイトカイン誘導とB型肝炎ウイルス排除を目指した基礎的研究
Project/Area Number |
17K09448
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
村田 一素 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 客員研究員 (40345971)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IFN-λ3 / 核酸アナログ製剤 / B型肝炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型慢性肝炎は、核酸アナログ製剤(NUC)の登場により、ウイルスのコントロールは可能になったが、ウイルス排除あるいはdrug-freeに至る例は非常に少なく、ほとんどの症例では何十年も内服の継続が必要である。最近我々はNUCのうち、nucleotide analogues (アデフォビル、テノフォビル)には、B型肝炎ウイルス (HBV)の増殖に必要な逆転写酵素を阻害するばかりでなく、腸管細胞にてinterferon (IFN)-λ3を誘導するという追加薬理効果があることを発見した。しかも、腸管細胞で誘導されたIFN-λ3は門脈を介して肝に至ること、IFN-λ3には直接的およびinterferon stimulated genesを介した間接的抗HBV効果があることから、新たな治療戦略として期待される。しかし、臨床研究により、本薬剤の単独投与ではウイルス排除あるいはdrug-freeに至る抗HBV効果は期待できないことは明らかにされている。 IFN-λ3の抗HBV効果は、薬剤容量依存性であることから、さらに強力にIFN-λ3を誘導する薬剤の探索を考慮した。薬剤探索のためには、まず、その誘導機序を明らかにする必要がある。昨年度、我々はNUCのIFN-λ3誘導に係る重要な責任遺伝子 X(特許などのために仮称)を同定した。その確認のためにNUCにてIFN-λ3を誘導する大腸がん細胞より、Xをknock-out細胞を樹立し、NUCにて刺激したところ、IFN-λ3の産生能は消失した。一方、同細胞をIFN-αで刺激するとIFN-λ3の産生は親細胞と同等であった。以上より、NUCによる腸管細胞からのIFN-λ3産生は、Xが必要不可欠であり、IFN-α刺激による同産生は別経路によることが判明した。しかし、その上流の必要分子があることも判明したため、今後さらに検討を続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸管細胞におけるNUCによるIFN-λ3誘導機序の解明は上記のように順調に進んでいる。低分子化合物ライブラリーを用いたIFN-λ3誘導物質のスクリーニングは終了し、現在は、類似構造物質の解析を行っており、これも順調に進んでいる。また、NUCによるリンパ球からのサイトカイン誘導も、その機序が判明しつつあり、最後の実験を行った後、投稿予定である。以上のように、研究はすべて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
腸管におけるIFN-λ3産生機序について、遺伝子Xが重要であることが分かったが、その上流にさらなる必要分子があることも判明したため、今後さらに検討を続けていく予定である。また、リンパ球におけるADV, TDFによるサイトカイン産生に関して、最近発売されたTAFも同様の解析を行ったところ、TAFはADV, TDFと同じサイトカインを誘導することが判明した。今後、その機序について解析を進めていく予定にしている。
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Causes of Carryover |
研究の進行の過程で、実験を待機する必要があったこと、また、当初予定していたヨーロッパ肝臓学会への参加を見合わせたこと、などから当年度の研究費の余剰が生じたため。上記の如く、H30年度に費用を必要とする実験を組んでいるため、余剰金はそれに当てる予定である。
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Remarks |
該当なし
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Induction of IFN-lambda3 as an additional effect of nucleotide, not nucleoside, analogues: a new potential target for hepatitis B virus infection2018
Author(s)
Murata K, Asano M, Matsumoto A, Sugiyama M, Nishida N, Tanaka E, Inoue T, Sakamoto M, Enomoto N, Shirasaki T, Honda M, Kaneko S, Gatanaga H, Oka S, Kawamura IY, Dohi T, Shuno Y, Yano H, Mizokami M
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Journal Title
Gut
Volume: 67
Pages: 362-371
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Combinational use of2018
Author(s)
Matsumoto A, Nishiguchi S, Enomoto H, Kang JH, Tanaka Y, Shinkai N, Kurosaki M, Enomoto M, Kanda T, Yokosuka O, Yatsuhashi H, Nagaoka S, Okuse C, Kagawa T, Mine T, Takaguchi K, Saito S, Hino K, Ikeda F, Sakisaka S, Morihara D, Miyase S, Tsuge M, Chayama K, Hiramatsu N, Suzuki Y, Murata K, Tanaka E
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Journal Title
J Gastroenterol
Volume: 53
Pages: 247-257
DOI
Peer Reviewed
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