2017 Fiscal Year Research-status Report
胆管癌進展過程に酸化ストレス応答機構が果たす役割の解析
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17K09452
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濱田 晋 東北大学, 医学系研究科, 助教 (20451560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正宗 淳 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90312579)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は胆管特異的に変異K-rasおよびp53を発現する肝内胆管癌モデルマウス(AKPマウス)へKeap1 flox/floxバックグラウンドを導入し、恒常的にNrf2の活性化が起こるモデルマウス(AKP-Kマウス)の解析を実施した。本マウスでは野生型バックグラウンドのモデルマウスと比較して細胆管の著明な増加がみられ、一部のマウスでは生後90日以内に肺転移や腹膜播種を伴う進行胆管癌を生じた。対照的に、Nrf2欠損バックグラウンドを導入したマウス(AKP-Nマウス)では前癌病変の形成がみられなかった。以上の結果から、胆管癌進展過程においてNrf2活性化は癌進展を促進するものと考えられた。 AKPマウスおよびAKP-Kマウス肝組織からRNAを抽出してマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルを比較したところ、AKP-Kマウスではグルタチオン-S-トランスフェラーゼやABCトランスポーターといった典型的なNrf2標的遺伝子の発現が有意に増加していた。これらの遺伝子に加え、胆管細胞の分化に関わる複数の分子やサイトケラチンの発現変化がみられ、細胆管の増生や発現過程への関与が考えられた。これらの分子のうち癌進展に寄与するものを特定するため、AKP-Kマウスに生じた胆管癌からコラゲナーゼ処理にて細胞株を樹立し解析を進めている。AKPマウスでは生後90日の時点では胆管癌の発生がみられないため、飼育期間を延長して発癌個体を作成し、AKPマウス胆管癌由来細胞株の樹立準備中である。胆管発癌促進の責任遺伝子と思われるものについては、AKP-Kマウス由来細胞株でのノックダウン実験により発癌への関与を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討により、胆管特異的なKeap1ノックアウトによるNrf2活性化は発癌を促進することが示された。典型的なNrf2標的遺伝子に加えて胆管分化に関わる複数の遺伝子発現に変化がみられることを確認した。以上より、本研究計画の進捗はおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は野生型胆管癌モデルマウスから胆管癌細胞株を樹立し、Nrf2活性化による発癌促進の責任遺伝子同定を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は動物モデルの作製に時間を要したため、次年度使用額が生じた。
来年度以降は細胞を用いた実験や遺伝子実験・生化学実験を実行予定であり、次年度助成金と併せて使用予定である。
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Research Products
(1 results)