2018 Fiscal Year Research-status Report
患者由来膵癌ライブラリーを用いた治療抵抗性膵癌に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K09454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高原 楠昊 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10750622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は難治癌である。標準治療に抵抗性を示す症例も多く、こうした治療抵抗性の改善を目指した治療の開発や、治療抵抗性予測因子の同定が急務である。そのためには、実際の臨床検体を用いて薬剤感受性の評価・機序解明・新規治療薬のスクリーニングなどを行う枠組みが必要であり、実際の患者における治療効果を忠実に再現するような実験系の開発が不可欠である。申請者らは患者腫瘍からヒト膵癌異種移植腫瘍(patient-derived tumorxenograft; PDX)ライブラリーを樹立、基礎的検討を行ってきたが、患者由来膵癌の3次元培養法(Patient-derived organoid; PDO)によりさらに詳細なin vitro 研究や大規模なスクリーニングが可能となった。 そこで、本研究では①膵癌PDOを用いて既存の抗がん剤および種々の低分子化合物への感受性を評価し、これが由来する患者における実際の治療反応性とどの程度相関するかを検証する。②治療感受性の異なるPDO を用いて治療効果予測因子の同定・バイオマーカー探索を図る。③治療抵抗性症PDOを用い、化学療法への耐性を改善する低分子化合物の探索とその機序の解明を行う。本解析結果によりPDOを用いた薬剤感受性評価が実際に臨床効果をどの程度予測可能かPredictive powerを明らかにする。以上の点を目的とする。 これまでに膵癌PDOを用いて膵癌の標準治療に用いられているGemcitabine、5-FUなど感受性について得られた結果と実際に投与された薬剤に対する臨床応答との関連を検討した。膵癌症例からのPDOの目標数10ラインはすでにクリアしており、これまでの検討では個々のPDOごとに薬剤に対する感受性の違いが認められている。また新規に有効な薬剤の探索を行うために約100種類の化合物ライブラリーについてスクリーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに膵癌PDOを用いて膵癌の標準治療に用いられているGemcitabine、5-FUなど感受性について得られた結果と実際に投与された薬剤に対する臨床応答との関連を検討した。また新規に有効な薬剤の探索を行うために約100種類の化合物ライブラリーについてスクリーニングを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は感受性・抵抗性に関わる因子・バイオマーカー候補を探索するために、IC50 値にもとづき、PDO を感受性と抵抗性に分類し、両群間での遺伝子変異プロファイルの違いを評価するとともに、抗癌剤暴露によって変動する遺伝子の違いについても、同様に感受性・抵抗性PDO 群で比較し、治療効果を早期に予測するためのマーカーも探索する。同定された治療抵抗性と関連する因子については、siRNAによる遺伝子発現抑制によって抗癌剤への感受性改善効果が得られるかどうか検討する。
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Research Products
(2 results)