2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of adoptive cell transfer using pancreatic cancer-specific genetically modified T cells combined with a desmoplasia-blocking peptide in pancreatic cancer
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17K09464
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村橋 睦了 (伊賀睦了) 九州大学, 大学病院, 助教 (20422420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
岸 裕幸 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (60186210)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膵癌 / 免疫療法 / 線維化抑制ペプチド / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膵癌免疫療法の可能性を検討するにあたり、当初、我々はエフェクター細胞として腹水細胞に着目していたが、最近、膵癌に対して根治術を受けた長期生存者において、腫瘍に浸潤するTリンパ球 と同一のT細胞受容体(TCR)クローンが末梢血中にも存在することが報告され(Balachandran VP, Nature 551:512, 2017)、根治術で得られた膵癌組織標本と同一患者の末梢血単核球を用いた研究計画書を作製し、平成29年9月29日九州大学におけるヒトゲノム・倫理委員会での承認を得、H30年度は2例を登録、現在、10例を目標に臨床検体の取得を目指している。 また、それに先立ち、前臨床試験として、免疫不全マウス(NOD-SCID)を用いて、膵癌細胞株担癌マウスモデルを作製し、ヒト末梢血単核球輸注を行い、線維化抑制ペプチドとニボルマブの併用療法による抗腫瘍効果を評価する実験を行った。免疫不全マウス(NOD-SCID)を用いたヒト膵癌細胞株皮下移植モデルにおいて、ヒト末梢血単核球輸注に続き線維化抑制ペプチドとニボルマブを併用した免疫療法による抗腫瘍効果を評価する実験を行った。腫瘍組織のCD3免疫染色では、コントロール群に比較して、末梢血単核球輸注+線維化抑制ペプチド+ニボルマブの3剤併用群においてCD3陽性細胞の浸潤増加を認め、それに一致して同群において有意な腫瘍増殖の抑制を認めた。すなわち3剤併用療法によるT細胞浸潤の増加が腫瘍増殖抑制に寄与している可能性が示唆された。今後は患者検体由来の膵癌細胞オルガノイドを作製し、同一患者の末梢血単核球を用いて抗腫瘍免疫反応を解析する in vitro 評価系の開発を進め、これらの臨床応用の可能性を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は臨床検体の取得を開始し、2症例を登録、ゲノム解析用サンプルと患者膵癌細胞由来の細胞株を樹立した。一方で、この1年の間に患者由来がんモデルの分野では進歩が見られ、国内のグループからは患者膵癌組織に由来する膵癌オルガノイドの新たな知見が発表された (Seino T, Cell Stem Cell 22:454, 2018)。本研究では、免疫治療の選択や開発を可能にする患者由来がんモデルの確立もゴールの一つと位置付けている。上記の報告をもとに、膵癌細胞株に比較し、患者がん組織をより模倣していると考えられる膵癌オルガノイドを用いて、同一患者由来の末梢血単核球をエフェクターとしたin vitro 抗腫瘍効果評価系の作製に取り組んでいる。この取組みにより膵癌における免疫治療の効果を事前に予測するシステムの開発を目指している。前臨床試験として実施したマウスモデルの実験結果は日本外科学会等での発表に並行し、論文作成にも取り組んでおり、全体として予定通りの進捗が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度は、患者検体由来の膵癌オルガノイドと末梢血単核球を用いて、in vitro 抗腫瘍効果評価系の確立を目指す。同時に患者膵癌組織もしくは膵癌オルガノイドのエクソームおよびRNAシーケンス解析を行い、抗腫瘍効果と関連のある遺伝子異常や遺伝子発現の変化の検討を行う。エクソームシーケンス解析によって得られた変異抗原による刺激やニボルマブ添加によって腫瘍に反応するCD8+T細胞を見出す症例では、TCRを絞り込み、抗腫瘍効果を発揮するTCRの同定を目指す。
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Causes of Carryover |
患者由来膵癌細胞のエクソームおよびRNAシーケンス解析の費用を150万円計上していたが、追加対象となった膵癌オルガノイドの作製を待っているため、次年度使用額が生じました。次年度は膵癌オルガノイド作製の準備が順調に進んでおり、当初の予定通り予算額が執行される見込みです。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A Novel Combination Therapy for Human Oxaliplatin-resistant Colorectal Cancer Using Oxaliplatin and Coxsackievirus A11.2018
Author(s)
Wang B, Ogata H, Takishima Y, Miyamoto S, Inoue H, Kuroda M, Yamada K, Hijikata Y, Murahashi M, Shimizu H, Okazaki T, Nakanishi Y, Tani K.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 38
Pages: 6121-6126
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] RBPJ and MAML3: Potential Therapeutic Targets for Small Cell Lung Cancer.2018
Author(s)
Onishi H, Ichimiya S, Yanai K, Umebayashi M, Nakamura K, Yamasaki A, Imaizumi A, Nagai S, Murahashi M, Ogata H, Morisaki T.
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Journal Title
Anticancer Res.
Volume: 38
Pages: 4543-4547
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Identification of Tumoricidal TCRs from Tumor-Infiltrating Lymphocytes by Single-Cell Analysis.2018
Author(s)
Shitaoka K, Hamana H, Kishi H, Hayakawa Y, Kobayashi E, Sukegawa K, Piao X, Lyu F, Nagata T, Sugiyama D, Nishikawa H, Tanemura A, Katayama I, Murahashi M, Takamatsu Y, Tani K, Ozawa T, Muraguchi A.
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Journal Title
Cancer Immunol Res.
Volume: 6
Pages: 378-388.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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