2017 Fiscal Year Research-status Report
運動療法による冠動脈・頸動脈プラーク退縮と安定化、メカニズムの検討
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17K09493
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石井 秀樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90456674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 進 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10725831)
菊地 良介 名古屋大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (30721435)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイオカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、運動療法や心肺機能改善自体が慢性的に動脈硬化進展抑制効果や冠動脈プラーク安定効果による心筋梗塞発症予防効果があるかどうかについて検討を行っている。特に本研究では骨格筋から分泌される様々なマイオカインと、血管内膜の増殖、血管拡張、生体内血管新生に関わるとされるVEGF-Aに関し、特にVEGF-Aの「質」に着目して解析を行っている。 平成29年度に、本院において、左前下行枝または左回旋枝の有意狭窄に対して、経皮的冠動脈インターベンションを施行した55名の患者に対して、左主管部の冠動脈プラークを検討した。方法として、血管内超音波(IVUS)でも、プラーク組成を解析することができるintegtrated-backscatter IVUS(IB-IVUS)を用いて、マイオカインの一つであるirisinと、percent lipid volume (%LV)と percent fibrous volume(%FV) について関連性を調べた。結果、irisin濃度と%LVについては、r = -0.31 [95% confidence interval (CI): -2.52, -0.21], p = 0.02、%FVについては、r = 0.32 [95% CI: 0.22, 2.20], p = 0.02と関連性があることがわかった。 これらの検討結果は、irisin濃度が高いと左主管部病変が安定化病変であり、irisin濃度が低いと不安定病変になっている可能性がある。言い換えるのであれば、運動習慣等の関連性が指摘されているirisinと冠動脈の質との関連を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイオカインの中でirisinと、冠動脈プラーク(左主管部)における組成との関連を発見した。現在論文として投稿し、revisionをsubmitしている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も、症例数をより増やすことにより、データーの信頼性を高める。本年度は更に150症例のPCI患者を追加で検討したい。これらの患者についいて、PCIの際に行う血管内超音波等の所見を用いて、マイオカインのみならずVEGF-Aの「質」と、冠動脈プラーク組成との関連、運動習慣とCPX等によるパラメーターとの関連性について更に検討する。 また、PCIを施行した虚血性心疾患患者に於いて、運動習慣、マイオカインのみならずVEGF-Aがどのように予後に関連するかなどについても調査し、それらの意義をつきとめるようにする。
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Causes of Carryover |
機器購入費、試薬が予定よりも安価であったこと、情報収集の旅費が安価で済んだことによる。 繰り越し分について、平成30年度にエンロールした症例に対する試薬の購入、また成果発表に対して使用を検討している。
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