2017 Fiscal Year Research-status Report
特発性肺動脈性肺高血圧症由来心筋細胞の特性解明と新規治療薬の開発
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17K09498
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 達 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60601127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10335630)
斎藤 幸弘 岡山大学, 大学病院, 医員 (20724454) [Withdrawn]
吉田 賢司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (70532761)
伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90446047)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / iPS細胞 / 心筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性肺動脈性肺高血圧症で肺移植を受けた1症例から、皮下組織を提供していただき皮膚繊維芽細胞を培養した。その皮膚繊維芽細胞にレトロウイルスベクターを用いてOCT4、SOX2、KLF4、c-MYCの4因子を導入したところ、iPS細胞の作製に成功した。iPS細胞であることは、OCT4、SSEA―4、SSEA-1、TRA-1-60による免疫染色にて確認した。 iPS細胞を継代、培養し十分細胞数が増えたところで、GSK3阻害剤であるCHIR99021、アスコルビン酸、Wntシグナル阻害剤であるIWR-1を順次添加した結果、心筋細胞が誘導された。無糖乳酸添加培地、無グルタミン酸培地を用いて精製した後、十分な拍動を有する心筋細胞を得ることができた。これらの細胞はαアクチン、トロポニンIの免疫染色にて心筋細胞であることを確認した。 まずはこれら心筋細胞を用いてWarburg効果を調べることとした。Warburg効果とは、嫌気環境だけでなく好気環境でもそのエネルギー産生を解糖系に頼っていることであり、腫瘍細胞に特徴的な代謝と言われている。心筋細胞を酸素濃度が21%の常酸素インキュベーターと酸素濃度が5%の低酸素インキュベーター内で72時間培養したのち、それぞれの細胞からRNAと蛋白を抽出した。今後はこれらRNAや蛋白を用いて、好気性環境及び嫌気性環境におけるエネルギー代謝に違いがあるかを調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特発性肺動脈性肺高血圧症の治療の進歩により、肺移植を受ける患者が減ってきている現状がある。そのため特発性肺動脈性肺高血圧症例から皮下組織を得ることが難しくなっている。今後はできる限り症例数を増やして研究を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後特発性肺動脈性肺高血圧症例に対する肺移植が行われなかった場合、過去に同疾患で肺移植を受けた症例の肺動脈平滑筋細胞がある。その肺動脈平滑筋細胞からiPS細胞を作成し、心筋細胞に誘導して実験を継続することも考慮する。
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