2018 Fiscal Year Research-status Report
特発性肺動脈性肺高血圧症由来心筋細胞の特性解明と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
17K09498
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤木 達 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60601127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10335630)
斎藤 幸弘 岡山大学, 大学病院, 医員 (20724454) [Withdrawn]
吉田 賢司 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (70532761)
伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90446047)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / iPS細胞 / 心筋細胞 / Warburg効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に特発性肺動脈性肺高血圧症の皮膚線維芽細胞からiPS細胞の作製し、心筋細胞の誘導に成功した。 今年度はこの心筋細胞を用いてWarburg効果を調べた。Warburg効果とは、嫌気環境だけでなく好気環境でもそのエネルギー産生を解糖系に頼っている現象である。解糖系において好気環境でグルコースはピルビン酸へと変換され、ピルビン酸はピルビン酸脱水素酵素によりアセチルCoAに変換され、ミトコンドリア内でのTCAサイクルによりエネルギーを産生する。一方嫌気環境ではピルビン酸が乳酸へと変換されエネルギーが産生される。Warburg効果とは好気環境でもピルビン酸が乳酸へと変換されることである。この解糖系の進み方の違いはピルビン酸脱水素酵素やピルビン酸脱水素酵素を制御しているピルビン酸脱水素酵素キナーゼなどにより制御されている。 そこで心筋細胞を酸素濃度が21%の常酸素インキュベーターと酸素濃度が5%の低酸素インキュベーター内で72時間培養したのち、それぞれの細胞からRNAを抽出した。そしてピルビン酸脱水素酵素の発現を調べたところ、常酸素状態でも低酸素状態でもピルビン酸脱水素酵素の発現が上昇していた。 今後はピルビン酸脱水素酵素の蛋白発現、ピルビン酸脱水素酵素キナーゼの遺伝子や蛋白の発現、心筋細胞内の乳酸濃度などを調べ、Warburg効果が特発性肺動脈性肺高血圧症の心筋細胞で生じていることをより詳細に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度も特発性肺動脈性肺高血圧症に対する肺移植が行われなかった。そのため特発性肺動脈性肺高血圧症例から皮下組織を得ることができず、iPS細胞の樹立や心筋細胞の作製が1例のみにとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、特発性肺動脈性肺高血圧症例に対する肺移植が行われなかった場合、過去に同疾患で肺移植を受けた症例の肺動脈平滑筋細胞が保存されているので、その肺動脈平滑筋細胞からiPS細胞を作成し、心筋細胞に誘導して実験を継続することも考慮する。
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Causes of Carryover |
研究打合わせおよび研究成果発表のために国内外の学会参加を予定しており、旅費を計上していたが、本年度は行わなかったため次年度繰越とした。 次年度も本研究のiPS細胞作製及び心筋細胞分化誘導のために、様々な培養試薬、レトロウイルスベクターの購入と作成、実験機器が必要である。これらを消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)