2019 Fiscal Year Annual Research Report
Usefulness of histopathological evaluation for the diagnosis and prediction of clinical prognosis in patients with cardiomyopathy
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17K09512
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 浩章 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30325659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒔田 直昌 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 副所長 (00312356)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心筋症 / 心筋生検 / 免疫染色 / 光学顕微鏡 / 電子顕微鏡 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種心筋症の診断および臨床像における心筋病理組織評価の有用性の検討として、本年度は心移植が必要と判断された心筋症での検討を行った。 対象は心移植が必要と判断され、当院心臓血管外科で左室補助装置を施行した当院で治療抵抗性であり心臓移植の適応を受け補助人工心臓12例(男性8例;年齢18-62歳)。光学顕微鏡的検討では、細胞浸潤、心筋細胞の肥大、変性、配列の乱れ、核の変形や心筋細胞脱落後線維症がみられた。このうち、慢性心筋炎もしくは炎症性拡張型心筋症と診断されたものが3例、心筋細胞変性が強く拡張型心筋症または経過から拡張相肥大型心筋症と診断されたものが8例、核の変形がつよく、遺伝子検査でラミン心筋症と診断されたものが1例であった。電顕では、心筋筋原線維の変性を認め、ラミン心筋症では心筋細胞の核膜の断裂と、免疫染色で心筋細胞の細胞核でラミンA/Cの発現低下を認めた。このことより、補助人工心臓を必要とする症例は、単一な原因ではなく、細胞変性に乏しく細胞核の変形が強い場合は、ラミン心筋症の可能性があり、家族歴、臨床所見に加え、遺伝子検査が有用であると思われる。なお、今回の拡張型心筋症でも遺伝子解析を可能なかぎり行っているが、既知のサルコメア遺伝子異常は確認されなかった。 以上より、補助人工心臓を必要とする臨床診断が拡張型心筋症について、心筋生検で特に炎症が強い慢性心筋炎、心筋細胞変性が高度な場合は、通常の治療に抵抗性で、将来補助人工心臓を必要とする可能性が高いと思われる。また、心筋変性が強くなくても、ラミン心筋症でも必要となることがあるので、心筋生検を含め総合的な診断が重要である。 今までの検討を含め、総合的に、心筋生検は診断のみならず、心筋傷害の機序や予後の推測に有用であり、治療方針決定のためにも有用であると思われる。
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Research Products
(1 results)