2017 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災被災地域住民における心電図指標と循環器疾患発症危険に関する研究
Project/Area Number |
17K09520
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
田中 文隆 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (80405761)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心電図 / 生活習慣病 / 不整脈 / 心肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本学岩手医科大学は、平成23 年度より独自に被災地住民の健康調査を行い、それを発展させた形で、「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査研究」(厚生労働省科学研究費補助金事業)を行っている。これにより、10,374人の岩手県沿岸地域住民コホ-ト(一次コホ-ト)を対象として、平成23 年度に安静時12 誘導心電図(ECG)、血液、尿検査、生活習慣などの聞き取り調査をすでに済ませている。さらに、年に一度同様の調査、測定を行うことで、対象コホートが追跡されている。本研究は、これらのコホートを対象に経年的ECG変化(心房細動、左室肥大、ST-T変化などの新規出現)とベースライン因子との関連性を明らかにすることを目的とした研究である。 参加者のECG についてミネソタ基準に準じたコード化とPQ、QRS 電位の計測を行い、平成23年度の本コホート研究参加者10,374 名全例の1度目の作業を終了した。これらは、研究代表者 (田中)と訓練された看護師資格を有する研究支援者(雇用)の計4名によって行われた。次に、コード化と計測の精度を担保するため、先とは別の計測者が10,374 名の2度目のコード化作業を進めているところである。 今後は、年度内に解読作業を終了し、データセット作成を完了する見通しである。次に、研究開始時の平成23年度の一次コホートと平成24-28 年度の重複コホートのECGデータを「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査研究」のデータベースへ組み入れ、各ECG 指標および血圧や糖・脂質代謝指標、喫煙などの生活習慣といったベースラインの危険因子と心房細動などの不整脈、左室肥大、虚血性心疾患の新規出現との関連について縦断解析を行い、研究の成果について公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画として、平成30,31年度に解読作業を終了したECGデータを「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査研究」のデータベースへ組み入れて、各ECG 指標および血圧や糖・脂質代謝指標、喫煙などの生活習慣といった従来の危険因子と心房細動などの不整脈、左室肥大、虚血性心疾患といったECG異常の新規出現との関連について縦断解析を行う、としていた。年度内にECG解読作業を終了予定であり、今年度内にデータセット作成を完了できる見通しであるため、おおむね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始時の平成23年度の一次コホートと平成24-28 年度の重複コホートのECGデータを「東日本大震災被災者の健康状態等に関する調査研究」のデータベースへ組み入れる。統計ソフト (SPSS)を用いて、各ECG 指標および血圧や糖・脂質代謝指標、喫煙などの生活習慣といった従来の危険因子と循環器疾患発症との縦断解析を行う。さらに、重複コホートの心房細動などの不整脈、左室肥大、虚血性心疾患の新規出現に関連する因子について縦断解析を行う。これは、研究代表者 (田中)により行う。 本研究が当初計画どおりに進まない可能性としては、①健康診断を繰り返し受診した重複コホート数が十分得られないこと、②解析者間のECGのコーディングや計測値のばらつきによるデータ解析精度の低下、が挙げられる。①に関しては、岩手県予防医学協会の調査において地域住民の健診への参加率が7~8 割と高くかつ人口異動の少ない地域(4 年間で0.8%)であることから、解析対象期間の平成23-28 年度においても十分な重複受診者が見込まれる。さらに、すでに解析した結果から、平成23年度 (研究開始時)と平成26年度の重複コホートが6,298名 (平成23年度コホートの66.7%に該当)と再受診率が高かったことから、その他の年度についても同様十分な重複受診数が見込まれる。②に関しては、一検体 (ECG)の解析を2名によって行うことを原則とし、計測データの乖離については解析者間で申し合わせの上最終的なデータとすることで、データの精度確保が可能になる。 本研究の総括は研究代表者の田中により行われる。連携研究者の下田がECG データの管理とコホート研究データベースへの突合せによる解析データセット作成を行う。得られたデータの解析と解釈、知見の考察を行い、研究成果を公表する。
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Causes of Carryover |
データ解析ソフトを次年度(平成30年度)へ購入変更としたため
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Ability of B-Type Natriuretic Peptide testing to predict cardioembolic stroke in the general population - Comparisons with C-Reactive Protein and urinary albumin.2018
Author(s)
Nakamura M, Ishibashi Y, Tanaka F, Omama S, Onoda T, Takahashi T, Takahashi S, Tanno K, Ohsawa M, Sakata K, Koshiyama M, Ogasawara K, Okayama A; Iwate-KENCO Study Group.
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Journal Title
Circ J
Volume: 82
Pages: 1017-1025
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Prognostic value of electrocardiographic left ventricular hypertrophy on cardiovascular risk in a non-hypertensive community-based population.2018
Author(s)
Tanaka K, Tanaka F, Onoda T, Tanno K, Ohsawa M, Sakata K, Omama S, Ogasawara K, Ishibashi Y, Itai K, Kuribayashi T, Okayama A, Nakamura M; Iwate-Kenco Study Group.
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Journal Title
Am J Hypertens
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Long-term effects of the 2011 Japan earthquake and tsunami on incidence of fatal and nonfatal myocardial infarction.2017
Author(s)
Nakamura M, Tanaka K, Tanaka F, Matsuura Y, Komi R, Niiyama M, Kawakami M, Koeda Y, Sakai T, Onoda T, Itoh T; Northern Iwate Heart Registry Consortium.
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Journal Title
Am J Cardiol
Volume: 120
Pages: 352-358
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Prognostic value of electrocardiographic left ventricular hypertrophy on cardiovascular risk in a non-hypertensive community-based population2018
Author(s)
田中健太郎, 田中文隆, 大澤正樹, 丹野高三, 小野田敏行, 坂田清美, 大間々真一, 石橋靖宏, 小笠原邦昭, 板井一好, 岡山明, 中村元行.
Organizer
第82回日本循環器学会
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[Presentation] Plasma B-type Natriuretic Peptide level is useful to predict incidence for both types of heart failure with and without left ventricular systolic dysfunction in the general population .2017
Author(s)
Komi R, Tanaka F, Satoh K, Matsuura Y, TannoK, Ohsawa M, Onoda T, Sakata K, Ogasawara K, Okayama A, Okayama A, Nakamura M.on behalf of Iwate KENCO study group, Iwate, Japan.
Organizer
America Heart Association 2017.
Int'l Joint Research
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[Presentation] Additional value of B-type Natriuretic Peptide to electrocardiography on the prediction of atherosclerotic cardiovascular disease in a population-based sample. .2017
Author(s)
Komi R, Tanaka F, Tanaka K, Onoda T, Tanno K, Ohsawa M, Itai K, Sakata K, Omama S, Ishibashi Y, Kuribayashi T, Okayma A, Nakamura, M.On behalf of Iwate-Kenco Study Group :
Organizer
America Heart Association 2017.
Int'l Joint Research
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[Presentation] Sex-specific differences in the association between serum uric acid and the incidence of cardiovascular events in the general population.2017
Author(s)
Matsuura Y, Segawa T, Tanaka F, Komi R, Tanno K, Ohsawa M, Ishibashi Y, Omama S, Sakata K, Okayama A, Nakamura M.
Organizer
America Heart Association 2017.
Int'l Joint Research
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