2020 Fiscal Year Research-status Report
左室収縮能保持性心不全の病態解明と新規治療法開発に向けたトランスレーショナル研究
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17K09523
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松下 健一 熊本大学, 病院, 特任教授 (10317133)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 循環器 / 心不全 / 左室駆出分画 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心不全の臨床研究を継続し、令和2年度は特に研究計画に掲げていた心エコー指標に関する解析も継続した。左室収縮能保持性心不全では拡張障害が重要な役割を果たしていると考えられているが、不明な点が多い。本研究では左室収縮能保持性心不全患者の心エコー指標と臨床データ・経過を分析しており、令和2年度も左室収縮能保持性心不全における拡張障害指標の有用性・問題点を含めた詳細な検討を継続した。 さらに、急性心不全および左室収縮能保持性心不全の原因の一つである急性心筋梗塞患者の多施設共同研究のデータ解析に参加し、予後増悪因子である腎機能障害を有する急性心筋梗塞患者における糖尿病合併の院内死亡への影響を男女別、年齢層別に解析した。その結果、糖尿病合併は男女別では男性で、年齢層別では若年層で腎機能障害を有する急性心筋梗塞患者の有意な院内予後規定因子であるという重要な研究成果が得られ、令和3年3月に開催された日本循環器学会学術集会で発表した (Matsushita K et al. Prognostic impact of diabetes mellitus on in-hospital mortality in patients with acute myocardial infarction and renal dysfunction. 第85回日本循環器学会学術集会. 2021年3月27日. 横浜市)。 また、間葉系幹細胞による左室収縮能保持性心不全の新規治療の可能性、および急性心不全に対する間葉系幹細胞の治療応用に関与する可能性のあるmicro RNAsについて纏め、報告した (Matsushita K. Trends Mol Med. 2020; 26(4): 369-379. doi: 10.1016/j.molmed.2020.01.003)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床データの詳細な解析を遂行し、一部の研究成果を発表した。左室収縮能保持性心不全では拡張障害が重要な役割を果たしていると考えられているものの不明な点も多いという背景から、本研究では左室収縮能保持性心不全患者の心エコー指標と臨床データ・経過を分析しており、左室収縮能保持性心不全における拡張障害指標の有用性・問題点を含めた詳細な検討を継続している。その他、急性心不全および左室収縮能保持性心不全の原因の一つである急性心筋梗塞患者の多施設共同研究のデータ解析に参加して、心不全発症とも関連し予後増悪因子として知られている腎機能障害を有する急性心筋梗塞患者に着目した。糖尿病合併の院内死亡への影響を男女別・年齢層別に解析すると、男女別では男性で、年齢層別では若年層で、糖尿病合併は腎機能障害を有する急性心筋梗塞患者の有意な院内予後規定因子であるという興味深い結果が得られ、令和3年3月に開催された第85回日本循環器学会学術集会で発表した。 また、間葉系幹細胞による左室収縮能保持性心不全の新規治療の可能性、および急性心不全に対する間葉系幹細胞の治療応用に関与する可能性のあるmicro RNAsについて纏め、報告した (Matsushita K. Trends Mol Med. 2020; 26(4): 369-379. doi: 10.1016/j.molmed.2020.01.003)。 しかし、研究代表者が令和2年度途中に研究機関を異動し、諸手続きやセットアップに時間を要したため進捗についてはやや遅れるという状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床情報解析をさらに発展させる。本研究計画に掲げていた心エコー指標、治療薬を中心とした解析についてもさらに発展させ、最新の知見を含めて検討項目を細かく変更していきながら研究を施行する。心エコーで測定される僧帽弁輪速度(e’)あるいは e’ と左室流入血流速度(E)との比 E/e’ 等は左室拡張障害を評価する有用な指標とされているが、問題点も指摘されている。現在、心エコー指標と臨床データ・経過の関連の分析を施行中であり、心エコーでの拡張障害指標の有用性・問題点を含めた解析についてもその結果をまとめていく。心不全治療薬については、新規治療薬を含めて入院前の服薬状況から入院中の治療薬、退院時の投薬内容まで詳細に解析する。退院日以降は、心不全による再入院の有無、心不全死の有無、非心臓死の有無を含めた経過・予後の解析も施行する。 さらに、エピジェネティックス研究、幹細胞研究へと発展させる。現在、micro RNAの発現様式とエピジェネティックな転写制御の関連が非常に注目されているものの、不明な点も多い。左室収縮能保持性心不全のバイオマーカーとしての可能性、病態制御に関与している可能性のあるmicro RNAsおよび標的シグナルについて検討する。それらの標的シグナルの分子を過剰発現あるいはノックダウンさせた間葉系幹細胞の投与による治療効果についても検討する。 未だ不明な点が多く複雑な病態である左室収縮能保持性心不全の機序・修飾因子を解明し、新たなリスク評価指標の確立、治療戦略へとつながる成果を得ることを目的として、これらの研究を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:令和2年度に使用予定であった消耗品購入費用や成果発表・論文作成関連費用の一部を令和3年度に変更としたため。 使用計画:令和2年度の使用予定としていた消耗品購入費用や成果発表・論文作成関連費用の一部を令和3年度に変更として使用予定であり、さらに研究を発展させる。
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Research Products
(2 results)