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2018 Fiscal Year Research-status Report

左心耳周囲脂肪の炎症が左房由来心房細動に与える影響

Research Project

Project/Area Number 17K09529
Research InstitutionJuntendo University

Principal Investigator

山本 平  順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70301504)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松下 訓  順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407315)
嶋田 晶江  順天堂大学, 医学部, 助教 (20439326)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords心房細動 / 脂肪 / 炎症 / ミトコンドリア
Outline of Annual Research Achievements

当院において開心術を受けた成人症例のうち、組織採取の同意が得られた症例を対象とした。得られた左心耳から周囲の脂肪を処理し解析した。これまでの累計117例の解析を行った。うち術前より心房細動(AF)は22例、洞調律(SR)は95例であった。平均年齢はAF=67.3, SR=70.5, p=0.175、女性の割合: AF=11 (50.0%), AR=32 (33.7%), p=0.153と有意差はなかった。平均BMI: AF=23.2, SR=23.1, p=0.930、高血圧の合併:AF=11 (50.0%), SR=57 (60.0%), p=0.392、脂質異常症の合併AF=11 (50.0%), SR=56 (58.9%), p=0.445と有意差はなかった。また術前の腎機能や透析の有無に差は見られなかった。術前の血液データにも有意差はなかった。疾患背景として虚血性心疾患はSR群で有意に多く(AF=5 (22.7%), SR=53 (55.3%))一方で弁膜症はAF群で多かった(AF=17 (45.7%), SR=42 (44.2%)。なお術前の左房径はAFで有意に大きかった(AF=46.0 vs SR=38.3、p<0.01)。
左心耳周囲の脂肪組織の遺伝子発現の比較検討において、炎症性サイトカインであるTNFαの発現はAF群で高い傾向が見られたが有意差はなく(AF=1.49 vs SR=1.25, p=0.312)、IL-1β (AF=1.8 vs SR=2.1, p=0.806), IL-6 (AF=5.7 vs SR=6.1, p=0.697), IL-10 (AF=3.1 vs SR=3.6, p=0.406), IL-17 (AF=4.1 vs SR=5.8, p=0.212), IL-33 (AF=11.8 vs SR=11.0, p=0.620)と差は見られなかった。一方でIL-2はAF=158.9 vs SR=58.1, p<0.01とAFで有意に高かった。さらにマクロファージのマーカーのうちCD11cは差がなかったがCD68およびCD206はAF群で高い傾向が見られた。ミトコンドリア関連遺伝子であるNRF1、PGC1α、NDUFB8、ND6とも有意差は認めなかった(NRF1:AF=3.0 vs SR=3.0, p=0.969、PGC1α:AF=1.2 vs SR=1.3, p=0.724 NDUFB8:AF=44.6 vs SR=44.5, p=0.911, ND6:AF=28.0 vs SR=25.1, p=0.310)。またICU滞在時間に差は認めなかった(AF=8.5 vs SR=7.5[時間], p=0.437)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

開心術症例において左心耳組織とそれに付随する脂肪組織の収集はほぼ予定通りである。一方で脂肪組織からのRNA抽出およびcDNAの作成は、一部の組織量が十分でないものも認めたがほとんどの組織で良好に抽出できた。またプライマーもこれまでのところほとんど遺伝子において良好な増幅効果が得られている。
手術中における脂肪サンプル採取においても、手技による有害事象は認めていない。解析結果は予想に反して炎症サイトカインの遺伝子発現およびミトコンドリア関連遺伝子の発現にこれまでのところ有意差はみられていない。

Strategy for Future Research Activity

前述のように本年の検討では炎症性サイトカインの発現はIL-2のみAF群にて有意な上昇を認めたもののその他の炎症性サイトカインに差はなかった。またミトコンドリア関連遺伝子の発現にはほとんど差は無かった。本検討は脂肪組織に着目したが、これまでの我々の解析からは左心耳組織ではミトコンドリアの発現に差が見られている。一方で炎症性サイトカインに関してはやはり両群間に大きな差は認められず、これまで知られているAF=炎症性疾患の概念とはやや異なる可能性が考えられた。これは急性炎症と慢性炎症の機序の違いや線維化の進行などが大きく影響している可能性が考えられ、今年度以降はこれらの点に着目してサブグループ解析を行うとともに遺伝子解析とともに組織化学解析も同時に進めていく予定である。

Causes of Carryover

これまでの研究は順調に進捗していることから、新たな研究試薬やプライマーなどの購入費用が抑えられたためと考えられる。一方で来年度以降は組織学的検討を含めた心房細動による炎症機序の解明を目指しており、それに対して染色用抗体などの購入費用を要する見込みである。また結果がまとまってきたため、学会発表および論文作成の費用などにも予算を充てるつもりである。

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Published: 2019-12-27  

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