2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09532
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
高野 信太郎 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80793421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 幸輔 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10633323)
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40324157)
中西 宏明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90392274)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心房細動 / グルタミン酸 / 酸化ストレス / NMDA-R |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動は最も罹患患者が多い不整脈の一つである。心不全や脳卒中を引き起こし、患者のQOLおよび生命予後を悪化させるため、この病態解明は社会的に重要な課題である。我々は心房細動患者において血漿グルタミン酸濃度と酸化ストレス度(hydroperoxide)が正相関しており、独立した心房細動の危険因子である事を報告した。
心房細動患者においては、多くの症例が心筋障害を呈しており、その原因として心筋組織内の酸化ストレスのみでなく、全身性の酸化ストレスが関係していると考えられる。心房細動の原因となる酸化ストレスに影響を与える新たな因子として、心筋に多く分布するグルタミン酸に着目しグルタミン酸受容体(N-methyl-D-aspartate 受容体)を介して心筋障害を誘発するとの仮説を設定した。
マーゲンゾンデを用いてグルタミン酸を投与したラット(wister-rat)をにおいて、血漿中のグルタミン酸と心筋組織におけるグルタミン酸受容体の一つであるN-methyl-D-aspartate 受容体(NMDA-R)の発現量を比較する。ラットの大動脈血より採血したサンプルからグルタミン酸濃度および酸化ストレスを測定して相関を解析した。酸化ストレスに関しては、一つの指標のみでなく、hydroperoxideや血清NT濃度、高感度TNF-αおよび高感度CRPなど様々な指標を用いて評価した。採取した心筋組織よりNMDAmRNAの発現をreal-time PCR法およびウェスタンブロッティング法にて解析する。グルタミン酸濃度とグルタミン酸レセプターの発現量、電子顕微鏡で評価した心筋障害の程度と酸化ストレスの数値を測定して、比較する事で心房細動誘発性との関連を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットに対するグルタミン酸投与量に関しては、各臓器にて投与量が異なり、また同一臓器でも投与量に解離を認める。特に心臓におけるグルタミン酸の研究には前例が少なく、投与量決定には各方面と検討する必要があった。 投与方法においても固形経口と水溶摂取、皮下注射が選定され、いずれの方法においても利点欠点があった事から、投与方法においても決定に時間を要した。またマーゲンゾンデの使用には訓練が必要とされた。最低でも投与期間が1ヵ月~2か月を要する事もあり、当初より遅れて研究が開始されている。
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Strategy for Future Research Activity |
グルタミン酸投与群のラットにおいて一定期間の投与終了をもって、ラットの大動脈より血液採取を行い酸化ストレスを測定する。心筋組織においては固定標本を作製して免疫染色を行い、NMDA-Rの発現量を定量化する。一部、心筋組織はPCRなどの解析を行う事によりグルタミン酸レセプターの発現量を測定する。 免疫染色およびPCRに関しては病理医と共同で評価する。酸化ストレスの測定に関しては、今回購入したフリーラジカル解析装置にて測定を行い、当院にて測定できない酸化ストレス(血清NT濃度)に関しては他の大学に測定を依頼する予定である。
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Causes of Carryover |
第一段階として、経口グルタミン酸負荷ラットにおける血漿中グルタミン酸濃度、心筋組織のグルタミン酸レセプター定量、酸化ストレスの測定を行っている。次にラットの食道よりペーシングカテーテルを挿入して発電装置で高頻拍のラットモデルを作成して、グルタミン酸濃度、グルタミン酸レセプター、酸化ストレスを測定する予定であったが、第一段階の研究が終了しておらず購入予定であったペーシングカテーテルや発電装置の購入に関しては翌年に持ち越す事となった。 今後はラットの使用数、免疫染色や酸化ストレス測定に使用する試薬も増える事が予想され、前年度の予算の一部を使用する予定である。
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