2018 Fiscal Year Research-status Report
失神における簡易型 tilt検査の診断的有用性と治療への応用
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17K09539
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
安部 治彦 産業医科大学, 医学部, 寄附講座教授 (70231967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 律子 産業医科大学, 医学部, 寄附講座講師 (20449945)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 失神 / head-up tilt検査 / active standing試験 / 血管迷走神経性失神 / ペースメーカ治療 / 起立調節訓練法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)血管迷走神経性失神(VVS)疑い患者に対して、tilt代を用いたhead-up tilt検査と外来診察室で行えるactive standing試験の臨床的有効性を検討すること、2)原因不明の失神患者において、体外式長時間心電計や植込み型心電計による長い心停止(6秒以上の心停止)が捉えられた患者で、かつその治療にペースメーカ植込み治療が考慮してされる患者において、head-up tilt検査の結果がその後のペースメーカ治療の有効性の予測因子となり得るか否かを検討すること、であった。 現時点での結果1):VVS疑い患者18名に対してactive standing試験を行なった。18名中12名(67%)において陽性であった。残り6名はactive standing試験で陰性であったが、臨床症状や年齢からVVSが強く示唆されたため臨床診断でVVSと診断した。全員に対して、生活指導及びphysical counterpressure maneuverなどの教育指導を行なった上で、患者自身が自宅で行なう起立調節訓練法(自宅の壁面を利用して一日2回30分間の起立訓練)による治療を開始した。治療効果の確認のため1ヶ月後の外来フォローを行なったが、全例で失神再発は認めなかった。 結果2):体外式長時間心電計(EV-201)により4名で6秒以上の心停止が認められた。また植込み型心電計で2名の患者に6秒以上の心停止が認められた。全例が発作性房室ブロック及び徐脈頻脈症候群であり、ペースメーカ植込みのクラス1適応であったため、ペースメーカ治療を行った。VVSは含まれていなかった。 考察:本年度は、研究の目的1)では症例数の増加があり、データの蓄積ができた。しかし、VVSのペースメーカ植込み適応患者はおらず目的2)に関しては症例の蓄積ができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1)に関しては順調に症例の蓄積がなされており、順調に進んでいると考えている。特にactive standing試験は血管迷走神経性失神の診断に極めて有効である。head-up tilt検査には、専用tilt台が必要であり、検査に1時間30分程度/人が必要であり、検査陽性率もそれほど高くない。一方、head-up tilt検査が陰性の場合、血管迷走神経性湿疹が否定されるわけではない。そのため外来診察室でのactive standing試験がhead-up tilt検査の代用になれば診察効率も上がり、一般臨床医にとって極めて有用な検査となることが期待される。 研究2)については、長い心停止が各種心電図検査で捉えられた血管迷走神経性湿疹に対するペースメーカ治療はクラスIIb (AHA/ACC/HRSガイドライン2017及びESCガイドライン2018)であることが報告された。日本循環器学会/日本不整脈心電学会「不整脈非薬物治療ガイドライン2018改訂版」でもクラスIIbとなった。そのためVVSに対してのペーシング治療については行わない方向性でのコンセンサスとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は3年計画の最終年度となるため、研究の目的で述べた研究1)と研究2)の症例を更に蓄積した上で、それぞれの研究年度の症例をまとめで論文作成を行う。現時点では、研究1)において、血管迷走神経性失神の診断を行う上で、外来診察室の壁面を利用した10分間のactive standing試験は血管迷走神経性失神の臨床診断に有効であると考えられる。詳細な病歴聴取とactive standing検査を行なうことでVVSの診断を下す事は可能である。本試験で陽性初見が得られればhead-up tilt試験をあえて行う必要性はない。これは臨床診療において、医師の検査に費やす労力と時間の節約に大きく貢献すると考えられる。研究2)に関しては、上記の進捗状況でも述べたように、2017年AHA/ACC/HRS湿疹のガイドラインおよび2018 ESC失神の診断・治療ガイドラインにおいて、長い心停止の自然発作が心電図で捕らえられた場合、VVSに対するペーシング治療はクラスIIbあるいはクラスIIaとなっている。しかもいずれのガイドラインにおいてもペーシング治療を考慮する場合、head-up tilt検査が陽性であれば、ペーシング治療を行なってもその有効性が低い事が示されている。本年3月に公表された不整脈非薬物治療ガイドラインにおいても同様になっているため、長い心停止の自然発作ががあっても、head-up tilt検査が陽性であればVVS に対するペーシング治療は進められない、というのが現在のコンセプトになっている。この点を踏まえて、進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた国際学会(欧州不整脈学会2019年3月)への海外出張が日程の関係で出席不可能となったため、その出張旅費として計上していた費用を次年度に繰り越した。本年度、アジア太平洋不整脈学会(APHRS 2019、2019年10月タイ(バンコク)で開催され予定))への出席を行い、研究発表を行う。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Prognostic impact of lead tip position confirmed via computed tomography in patients with right ventricular septal pacing.2019
Author(s)
Hattori M, Naruse Y, Oginosawa Y, Matsue Y, Hanaki Y, kowase S, Kurosaki K, Mizukami A, Kohno R, Abe H, Aonuma K, Nogami A
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Journal Title
Heart Rhythm
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Muller maneuver as a tool for stress echocardiography: evaluation of exercise capacity in patients with dilated cardiomyopathy.2018
Author(s)
Onoue T, Fukuda S, Hayashi A, Hei S, Kado Y, Nagata Y, Iwataki M, Kohno R, Miyamoto T, Oginosawa Y, Araki M, Sonoda S, Takeuchi M, Abe H, Otsuji Y
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Journal Title
JACC Cardiovasc Imaging
Volume: 11
Pages: 1031-1032
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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