2019 Fiscal Year Research-status Report
癌化学療法における薬剤性心筋症発症に寄与する遺伝的素因ならびに心機能特性の解明
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17K09540
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
渡邉 直 公益財団法人がん研究会, 有明病院 総合診療部 循環器内科, 副医長 (00597271)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤性心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、胃がんに対する化学療法を受ける患者を登録するための、データベースシステムを構築した。トラスツズマブなどの心毒性が報告されている化学療法を受ける患者群に加えて、心毒性発現率の低い化学療法を受ける患者群も登録し、より詳細な比較検討を行っている。 心臓超音波検査を用いた非侵襲的左室圧ー容量曲線から求められた、左室エラスタンス、実効動脈エラスタンス、心室動脈カップリング、心仕事量、心仕事効率などの指標を中心に、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、高感度トロポニン等の血液バイオマーカー、心電図検査、胸部単純X線検査、冠危険因子や胸部への放射線照射の既往などの病歴などを検討項目として、患者登録を行っている。また、すでに、化学療法を開始している患者も登録し、化学療法開始前からの心機能指標の変化を検討することで、長期投与による抗がん剤の心機能への影響を評価している。 本研究では、顕性心不全発症、化学療法前に比べ、左室駆出率が10%以上低下かつ絶対値が53%未満に低下、もしくは化学療法前に比べ、左室平均長軸方向伸縮率が15%以上低下した患者を薬剤性心筋症発症群として検討を行っている。抗がん剤投与後、左室駆出率が低下した群では、抗がん剤投与前の左室拡張機能指標が低下している傾向を認めている。また、トラスツズマブ投与終了後、低下した左室駆出率は、改善する傾向を認めている。BNP、高感度トロポニンなどの血液バイオマーカーは、現在のところ、変化を認めていない。これらに加えて、新たなバイオマーカーと心毒性発現の関連を検討している。症例数を重ねるとともに、追跡を継続し、抗がん剤の心機能に及ぼす影響を詳細に検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、登録症例数は、目標症例数の約75%である。そのため、新規に化学療法を開始する患者に加えて、すでに抗がん剤治療を受けている患者134名もデータベースに加え、検討を行っている。 全体として、ほぼ順調な経過であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
データ取得は、十分に得られているため、今後は、症例登録を進めるとともに、追跡を継続する。血液バイオマーカーは、新たなペプチド等も測定項目に加えることとする。
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Causes of Carryover |
本年度は、血液バイオマーカー測定のためのELISAキットなどの検査試薬の費用が、見込みより少なく済んだため、次年度に繰り越して継続使用する。
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