2017 Fiscal Year Research-status Report
希少心筋疾患、2次性心筋症を基礎心疾患とする重症心不全診療基準の確立
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17K09546
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
瀬口 理 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (60570869)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重症心不全 / 補助人工心臓 / 心臓移植 / 2次性心筋症 / 希少心筋疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者登録およびデータベースの構築について:平成29年度は当院にて補助人工心臓治療を装着した1999年からの症例および1999年の当院第一例目心臓移植症例からの心臓移植を実施した症例の登録ならびにデータベースの構築を進めた。 筋ジストロフィーに関して:当施設の近隣施設の神経内科および関東の施設と連携し、現在共同研究の立ち上げについて検討している。共同研究を検討している医師が班長を務める厚労科研班会議にて筋ジストロフィーに対する重症心不全診療について、当施設の症例経験を提示し、現状を紹介した。班会議に参加する医師は神経内科医や小児科医が中心であったが、それら参加する医師からは一定の評価を受け、Becker型筋ジストロフィーのみならず、Duchene型筋ジストロフィーといった重度の骨格筋力低下を伴う例における補助人工心臓、心臓移植の適応についての質問などが得られた。講演後はそれら医師と様々な情報収集を行った。 心筋炎に関して:劇症型心筋炎の急性期治療法として近年補助人工心臓治療の重要性が認識されてきた。そのなかで今回我々は当施設を含む認定植込型補助人工心臓実施施設8施設を対象として経皮的心肺補助装置を要する劇症型心筋炎症例の臨床経過について後方視的観察研究を立案した。補助人工心臓治療を行う施設においてこのような多数例の検討を行うことは、従来経皮的心肺補助装置を最上位の循環補助手段として治療を行ってきた状況に一石を投じ、今後の劇症型心筋炎による心原性ショック症例に対する治療方針を大きく変える可能性がある。 その他希少心筋疾患に関して:希少心筋疾患として、平成29年度にはダノン病、筋ジストロフィー遺伝子異常をもつ女性保因者症例など新規症例の登録もあり、これら希少疾患については症例毎に逐次報告を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者登録およびデータベースの構築について:過去症例の登録とそれら症例の患者背景および各種検査の共通項目に関しては概ねデータを収集した。各疾患毎の特殊検査項目については項目内容を含めて現在検討中である。また新規症例については本研究開始後より順次登録を進めている。 筋ジストロフィーに関して:現在当院筋ジストロフィー症例における心臓移植後の骨格筋筋力の変化について、後方視的にデータを収集している。筋ジストロフィー症例の心臓移植後の予後、拒絶反応の発生頻度などについて解析した過去の報告は認めるが、骨格筋力について解析した報告はまだない。当施設ではこれまで心臓移植を実施した筋ジストロフィー症例において骨格筋筋力の回復を認めた症例を数例経験している。一般的に筋ジストロフィー症例においてはリハビリによる筋力増強作用はないとされているが、心臓移植による循環改善や心臓移植後のステロイドを含む一部の薬剤が有効に作用している可能性もあり、今後検討を進める。 心筋炎に関して:研究実績の概要にも記載したように、経皮的心肺補助装置を要する劇症型心筋炎を対象とした多施設後方視的観察研究の研究計画を立案し、当施設倫理委員会へ申請した。当施設倫理委員会において本研究の実施が承認された後には、各研究参加予定施設においても倫理委員会申請を行い、症例の登録を進めていくこととしている。研究参加予定施設に対する予備調査の段階では80例の症例登録が見込まれており、最終登録予定症例数として100例を予定している。 その他希少心筋疾患に関して:当科にて診療している特発性心筋症症例を対象とした先天代謝異常症のスクリーニング検査を実施しており、島根大学医学部小児科学教室との共同研究として進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
筋ジストロフィーや心筋炎については、「研究実績の概要」、「現在までの進捗状況」に示したように当初の研究計画に従って研究を推進することができている。特に劇症型心筋炎については多施設が参加する後方視的観察研究にとりかかることができたことは当初の研究計画にはない研究の展開であり、研究の実現に向けて積極的に進めていきたい。当施設の倫理委員会承認後は各参加予定施設での倫理委員会申請、承認、症例登録へと進むが、平成30年度に各参加予定施設での倫理委員会承認を得て、平成31年度にはすべての症例登録を完了させることを目指す。 筋ジストロフィーについては自施設の症例検討、症例報告に加えて、「研究実績の概要」に示すように現在2施設との共同研究の立案を進めている。平成30年度には共同研究の具体的な研究計画を作成し、平成31年度の研究遂行につなげていくことを目指す。 心臓サルコイドーシスに関して:平成29年度は当施設において新たな心臓サルコイドーシス症例の登録はなかった。しかし近年心臓移植に至った症例の摘出心病理解析より心臓移植登録時には診断しえなかった心臓サルコイドーシスの診断に至った症例を2例経験した。心臓サルコイドーシスの診断には病理診断が得られた場合には確実であるが、確定診断困難な症例が一部に存在することが知られている。心臓サルコイドーシスの新たなガイドラインでは臨床診断群として病理診断がなくとも積極的に心臓サルコイドーシスを疑い、診断すべきであるとしているが、当施設において経験するこのような症例の経過から診断困難な心臓サルコイドーシスの特徴について今後検討する。 希少心筋疾患や2次性心筋症はその症例数の希少さゆえ、当施設のようなHigh volume centerであっても得られる症例数に限界があることは否めない。今後の研究推進方策として、多施設が参加する研究を立案し、遂行する。
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Causes of Carryover |
予定しておった研究が次年度へ繰り越したため。
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