2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the effect of early treatment for collagen associated borderline pulmonary arterial hypertension
Project/Area Number |
17K09552
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山田 典一 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (60303731)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 早期治療介入 / 運動負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肺動脈性肺高血圧症の中でも予後が悪いとされる膠原病関連の肺動脈リモデリング進行抑制に対する早期薬物治療開始の有効性を、早期治療介入群と非介入群の間で右心カテーテル留置下運動負荷試験の肺循環動態各指標の経年的変化を用いて明らかにすることを目的として行った。 右心カテーテル検査にて安静時平均肺動脈圧(MPAP)が25mmHgの肺高血圧域に達していない膠原病患者39例を対象に、エルゴメーターでの運動負荷を行い、MPAPが30mmHg以上に上昇した31例を薬物投与E群と非投与N群間に割り振った。2年間にわたり運動負荷時の肺循環動態各指標の変化を観察したところ、E 群、N 群ともに安静時のMPAP や肺血管抵抗(PVR) には有意な変化はみられなかったが、最大運動負荷時のMPAP やPVR はE 群では低下傾向がみられたのに対しN 群では増加傾向が認められた。また、最大運動負荷時のMPAP増加量(ΔMPAP)は、E 群で改善傾向がみられたのに対しN 群では増悪傾向にあった。また、肺動脈のリモデリングの程度を反映すると考えられるΔMPAPを最大運動負荷時心拍出量の増加量で除したΔMPAP/ΔCOでは、ベースライン、1年後、2年後の値がそれぞれ、E群では8.2 ± 1.9 → 6.0 ± 3.5 → 3.7 ± 1.6と有意に低下(p=0.03)したのに対して、N群では3.8 ± 1.4 → 5.2 ± 2.9 → 4.7± 1.9と上昇しており、膠原病に関連した運動誘発性肺高血圧症において、早期薬物治療介入が肺血管における病勢進行抑制に効果的である可能性が示唆された。症例数が限られており、今後、さらに症例数を増やし、観察期間を延長しての研究が必要と考えられた。
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