2017 Fiscal Year Research-status Report
The role of beta adrenergic signaling in fibroblasts during cardiac senescence
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17K09576
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 博之 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (40581062)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 老化 / 線維芽細胞 / 心肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、研究計画1)と2)に関して、以下の結果を得た。尚、配分経費を鑑み、研究計画3)の遂行は、平成30年度以降に繰り越した。
研究計画1)線維芽細胞におけるβ2アドレナリン受容体(β2AR)の心臓老化における役割の解明。(結果1)β2ARノックアウトマウス(β2AR-/-)とコントロール(β2AR+/+)の心臓から心線維芽細胞(CF)を単離し、増殖、遊走を検討した。その結果、β2AR-/-由来のCFは増殖能/遊走能が抑制されていた。(結果2)β2AR-/-とβ2AR+/+の生存率を16月齢まで検討した。β2AR-/-では26匹中4匹の死亡を認めたのに対しβ2AR+/+のマウスは、21匹中1匹の死亡を認めた。現在のところ、2群間に生存率に関して統計学的に有意な差を認めていない。また、予備的な検討として、先行的に観察しているβ2AR-/-は、26かヶ月以内に80%の死亡を認めた。(結果3)加齢マウスにおけるランゲンドルフ法を用いた詳細な心機能の解析系を構築した。(結果4)β2ARKOの圧負荷における心肥大反応を、大動脈縮窄術を用いて検討し、有意な差を認めなかった。
研究計画2)加齢における線維芽細胞β受容体下流シグナリング活性化モデルの心病態解析について:(結果5)線維芽細胞特異的PKAcα過剰発現マウス(TG)の心機能を、12月齢まで解析し、心収縮能に関して有意な差を認めなかった。(結果6)TGにおける生理的な肥大を検討した。その結果、有意な差を認めなかった。(結果7)TGにおいて、マイクロアレイ解析を施行し、炎症と心肥大の双方に関与しているIL-18の遺伝子発現が上昇している事を明らかにした。(結果8)TGより単離したCFの機能について検討した。増殖能、遊走能については、TG由来のCFが有意に上昇していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、多くの動物実験と細胞実験を行い、配分された経費内で可能な研究計画を概ね完了できたと考えている。その理由は以下のとおりである。
第一の理由は、論文化に向けて、ノックアウトマウスとコントロールを用いた生存率の検討が進んでいる事である。また、加齢マウスにおけるランゲンドルフを用いた心機能の解析系が確立できた点が挙げられる。これにより、次年度の解析により、研究計画1)の主要な目的であるβ2受容体のAging-related cardiomyopathyにおける役割の同定が、十分可能となる。第二の理由は、ネガティブな結果であったが、2種類に遺伝子改変マウスにおいて、論文化に必要な圧負荷および生理的肥大の検討に関する実験が終了した事である。時間と労力を要するこれらの実験が終了している事より、概ね研究計画が順調に推移していると考える。第三の理由は、単離した心線維芽細胞を用いた実験が終了した事である。かかる実験においては、β2ARKOマウスと過剰発現マウスより単離した心線維芽細胞においていずれも、増殖と遊走に関してポジティブな結果が得られている。さらに、想定していた以上の結果として、PKAcαを過剰発現した心線維芽細胞が、肥大を誘導する因子を分泌している事を示唆する結果を得ている。第四の理由は、目的の一つである心線維芽細胞より分泌される心筋細胞肥大を誘導する分子の候補が同定された事である。 以上の、4点を鑑み進捗状況を「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降の研究を以下のように推進する。
当初の計画としては、24月齢において心重量計測による心肥大解析・組織学的解析・心エコー/ランゲンドルフ法による心収縮/拡張機能解析、RT-PCRによる細胞老化関連分泌形質(SASP)の遺伝子発現解析を施行する予定であった。しかしながら、β2AR-/-の生存期間から、解析が困難となる可能性がある。このため、解析の時期を再検討する必要があると考えられる。そこで、20月齢を目処として、いずれかの群が、50%死亡した時点において、サンプリングを施行し、解析する事とする。研究計画において記載した選択的β2AR遮断の抗老化における有用性に関しては、研究の進捗状況より再検証する。選択的β2AR阻害剤をもちいたAging-related cardiomyopathyの病態の改善に関する検討を計画していたが、これは、β2AR-/-マウスにおいて、なんらかの加齢に対するポジティブな効果が確認された場合に施行する事とし、上記のβ2ARKOマウスにおける加齢による心臓の表現型解析を優先する事とした。一方、マイクロアレイ解析より得られた線維芽細胞のβ受容体刺激により心筋細胞肥大を惹起する分子の候補としてIL-18を同定している。既に、IL-18に関して、ノックアウトマウスが入手できている。今後、線維芽細胞を起点とした炎症と心肥大におけるIL-18の関与を、二重変異マウスの作製や浸透圧ポンプを用いた持続βAR刺激モデルを用いて検討する。さらに、IL-18は、インフラマソームの活性化時に、カスパーゼ1により切断され、生物活性を有するようになるため、インフラマソームの活性化に重要とされるP2X7受容体のノックアウトマウスを用いて、線維芽細胞のインフラマソームと心肥大の関連を明らかにしていく。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Phospholamban Inhibition by a Single Dose of Locked Nucleic Acid Antisense Oligonucleotide Improves Cardiac Contractility in Pressure Overload-Induced Systolic Dysfunction in Mice.2017
Author(s)
Morihara H, Yamamoto T, Oiwa H, Tonegawa K, Tsuchiyama D, Kawakatsu I, Obana M, Maeda M, Mohri T, Obika S, Fujio Y, Nakayama H.
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Journal Title
J Cardiovasc Pharmacol Ther.
Volume: 22
Pages: 273-282.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] 2-aminoethoxydiphenyl borate provides an anti-oxidative effect and mediates cardioprotection during ischemia reperfusion in mice.2017
Author(s)
Morihara H, Obana M, Tanaka S, Kawakatsu I, Tsuchiyama D, Mori S, Suizu H, Ishida A, Kimura R, Tsuchimochi I, Maeda M, Yoshimitsu T, Fujio Y, Nakayama H.
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 12
Pages: e0189948.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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