2018 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来ペースメーカ前駆細胞を用いた生物学的ペースメーカの開発
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17K09580
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
久留 一郎 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60211504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白吉 安昭 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90249946)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ペースメーカ幹細胞 / iPS細胞 / 刺激伝導系細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) HCN4-GFP陽性細胞の経時的分取と分子生物学的特性の評価: HCN4-GFP陽性細胞を選別採取し培養すると増殖性を示し、Tbx5を強く発現するFHF様の細胞群をHCN4-GFP陽性細胞として純化できた。HCN4GFP陽性細胞は誘導後14日目Ki-67陽性の増殖能を示したが、28日目では増殖性細胞数が低下していた。LCVを用い セルソーターによって分画したHCN4-GFP陽性細胞のsingle cellレベルでの経時的観察を行うと、誘導後14日目のGFP陽性細胞はsingle cellから複数回分裂を繰り返しながら増殖していた。以上から、分化誘導初期のHCN4-GFP陽性細胞にはFHF由来の心臓前駆細胞であり、増殖能と分化能を示す。2) HCN4とIsl1を可視化できるヒトiPS細胞株(HCN4-GFP/Islt1-mcherry hiPS細胞)の樹:ヒトiPS細胞のIsl1遺伝子座にゲノム編集を用いてmcherry遺伝子の導入とBACベクター上でIsl1遺伝子座にmcherryを相同遺伝子組み換えにより導入した後にBACベクターをヒトiPS細胞に導入しクローン選択を試みている。3)HCN4-GFP陽性/Mlc2v-mcherry陰性細胞の分取と電気生理学ならびに分子生物学的特性の評価:分化誘導後にHCN4-GFP単独陽性細胞を複数のクローンから採取し、その電気生理学的特性の解析を行ったHCN4-単独陽性細胞は90%が洞結節型自動能を示し、自律神経作動薬に対しての応答性を示した。4)HCN4-GFP/Mlc2v-mcherry二重陽性細胞の性質:HCN4-GFP/Mlc2v-mcherry二重陽性細胞はHCN4-GFP単独陽性細胞やiCell CMsと異なりNa channelの活性が著しく大きく、かつ活動電位持続時間が長くプルキンジェ線維細胞様特性と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HCN4-GFP搭載ヒトiPS細胞を分化誘導し、継時的にHCN4-GFP細胞を採取し、その分子生物学的特性と増殖能と測定した。分化誘導後7日目からHCN4陽性細胞を確認でき、その数は経時的に増加し、HCN4陽性細胞はとその拍動は一致していた。、HCN4-GFP陽性細胞を選別採取し培養すると増殖性を示し、Tbx5を強く発現するFHF様の細胞群をHCN4-GFP陽性細胞として純化できた。一方でHCN4-GFP陰性細胞にはIsl1及びKDRを発現するSHFの細胞が濃縮されていた。また、HCN4GFP陽性細胞はKi-67陽性の増殖能を示したが、誘導後14日目と28日目を検討すると28日目では増殖性細胞数が低下していることを確認できた。誘導後14日目、21日目の細胞凝集塊を解離し、LCVを用い セルソーターによって分画したHCN4-GFP陽性細胞のsingle cellレベルでの経時的観察を行った。誘導後14日目のGFP陽性細胞の分裂の様子から、single cellから複数回分裂を繰り返しながら増殖しており、分裂によって増殖した細胞も 分裂前の細胞と同様の蛍光を維持していた。 GFP陽性細胞中の分裂可 能なGFP陽性細胞を計測してグラフ化したところ誘導後14日目で約17%存在した分裂中のGFP陽性細胞は、28日目までに約7%まで低下しており、 統計学的に有意な差も見出された(p= 0.033≦0.05)。以上から、分化誘導初期のHCN4-GFP陽性細胞にはFHF由来の心臓前駆細胞であり、増殖能と分化能を示す。以上から増殖能を示す心筋幹細胞又は前駆細胞としての特性を示す細胞群が分化誘導後14日に存在することが明らかとなり、次年度にペースメーカ細胞への分化能を検討する予定であり予定通りに計画が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)心筋前駆細胞としての性質を持つヒトiPS細胞由来HCN4-GFP陽性細胞からペースメーカ細胞が分化誘導できるのかを検証し、さらに心室筋や血管系の細胞が分化誘導可能かを検証する。2)ヒトiPS細胞のIsl1遺伝子座にゲノム編集を用いてmcherry遺伝子の導入とBACベクター上でIsl1遺伝子座にmcherryを相同遺伝子組み換えにより導入した後にBACベクターをヒトiPS細胞に導入しクローン選択を試み、選別採取できた細胞を用いて本細胞の増殖特性を検討する。3)心筋前駆細胞としての性質を持つヒトiPS細胞由来HCN4-GFP陽性細胞のペースメーカ機能特性を明らかにする必要がある。4)ヒトiPS細胞由来HCN4-GFP/Isl1-mcherry二重陽性細胞のEx vivo及びin vivoでのペースメーカ機能評価を行う事で、本細胞の増殖性とペースメーカ特性を明らかにする必要がある。
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[Journal Article] Inhibitory effects of class I antiarrhythmic agents on Na+ and Ca2+ currents of human iPS cell-derived cardiomyocytes2019
Author(s)
Sayaka Yonemizu, Keiichiro Masuda, Yasutaka Kurata, Tomomi Notsu, Yuhei Higashi, Kenta Fukumura, Peili Li, Haruaki Ninomiya, Junichiro Miake, Motokazu Tsuneto, Yasuaki Shirayoshi, Ichiro Hisatome
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Journal Title
Regen Ther.
Volume: 10
Pages: 104-111
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Pretreatment with an angiotensin II receptor blocker abolished ameliorating actions of adipose-derived stem cell sheets on cardiac dysfunction and remodeling after myocardial infarction2018
Author(s)
Kenshiro Yamamoto, Yasutaka Kurata, Yumiko Inoue, Maya Adachi, Motokazu Tsuneto, Junichiro Miake, Kazuhide Ogino, Haruaki Ninomiya, Akio Yoshida, Yasuaki Shirayoshi, Yoshiko Suyama, Shunjiro Yagi, Motonobu Nishimura, Kazuhiro Yamamoto, and Ichiro Hisatome
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Journal Title
Regen Ther.
Volume: 9
Pages: 79-88
DOI
Peer Reviewed
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