2023 Fiscal Year Research-status Report
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17K09585
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 崇比古 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20464844)
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Project Period (FY) |
2022-11-15 – 2025-03-31
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Keywords | RBM20 / 遺伝子編集 / 拡張型心筋症 / 環状RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非コーディングRNAでもまだ機能が十分に解明されていない 環状RNAに着目している。かつては意味のない配列と考えられていた非コーディングRNA であるが、今までは転写制御に関する重要な機能を持つことがわかってきている。今までにも、心臓発生では心筋特異的microRNA配列の解析が進んでおり、心臓 で高発現するmicroRNAの特異的欠損マウスでは、心臓に重大な欠陥を呈することがわかってきている。その研究段階で、心臓のさまざまな遺伝子のスプライングに関与するRNA binding protein 20(RBM20)は多くのnon coding RNAを産生することが判明した。ヒトに認められる家族性拡張型心筋症では、多くの遺伝子異常が関与しているが、RBM20遺伝子も重要な候補遺伝子であることが知られている。また、RBM20遺伝子の異常はホットスポットを有しており、遺伝子異常の多くが一定のRSRSP領域に集まっている。遺伝子編集技術を用いて、遺伝子異常の修復を行うことでRBM20関連拡張型心筋症の治療開発を目指すとともに、遺伝子変異による非コーディングRNAの関与による機序を解明することを目指している。 最近の研究によ り、哺乳動物細胞中に数千の内在性circRNAが発見された。 CircRNAはエクソンまたはイントロン配列から大部分生成され、そして逆相補配列またはRNA結合タン パク質(RBP)がcircRNA生合成には必要である。 circRNAの大部分は種を超えて保存されており、RNase Rに対して安定で耐性があり、そしてしばしば組織/発生 段階特異的な発現を示します。最近の研究では、circRNAがmicroRNA(miRNA)スポンジ、スプライシングと転写の調節因子、そして親遺伝子発現の修飾因子とし て機能できることが明らかにされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトに認められるRBM20遺伝子変異であるR634Q、R636S変異の遺伝子異常の修復のための遺伝子編集技術の構築を行なった。RSRSP配列の遺伝子変異では、RBM 20タンパク質が核内に移行できなくなり、細胞質内に異常顆粒の蓄積を起こすことで心不全を重症化させることがわかってきた。CRISPR (Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)の発見以降、技術の飛躍的な発展により、遺伝子編集治療は様々な疾患に対する新規治療として期待されています。今回、Adenine base editing (ABE)と呼ばれる一塩基置換(A:T→G:C)を可能にした遺伝子編集技術を用いることで、RSRSP配列内の遺伝子変異の一つであるRBM20R634Q変異(c.1901 G>A)の修復を、R636S変異(c.1906 C>A)に対して、Prime editing (PE)と呼ばれる遺伝子編集技術を試みました。それぞれの遺伝子異常を修復することに成功したが、より効率的なデリバリー技術を開発する必要性がある。現在はアデノ随伴ウィルスを用いることが多いが、免疫応答や多くの問題があることも事実である。そのため、非ウィルス性のデリバリーシステムの検討を行う必要性があり、現在はその方法を検討しているためにやや進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Base editingとPrime editingのコンポーネントのサイズは大きく、アデノ随伴ウィルスで運搬する場合には分割して別々のウィルスベクターに入れる必要性がある。そのため、サイズに余裕のある非ウィルス性ベクターの開発とその評価が必要である。近年、脂質ナノ粒子やウィルス様粒子を用いたドラッグデリバリーの技術が躍進しており、この技術を用いた遺伝子編集技術の運搬技術の開発が行われている。しかし、心筋へのデリバリー技術の評価はされた論文はなく、今後の課題である。 RBM20は多くは心筋細胞に発現しており、心筋細胞へのデリバリーシステムの評価には適している。今後は、R634QやR638Sの遺伝子編集ができることは確率しており、iPS細胞心筋へマウスモデルを用いてデリバリーシステムの検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究過程で機序が明らかになったRBM20遺伝子の遺伝子編集に対する治療効果を検討するために、今後非ウィルス性ベクターを用いて遺伝子編集効率の検討を行なっていくために使用する。主にプラスミドベクターの購入と、In vitroの系でのデリバリーシステムの効率化実験のために必要な資材費、薬品代として使用する。
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