2017 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the pathogenesis of pulmonary hypertension focused on the impact of intestinal dysbiosis
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17K09604
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田邉 信宏 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (40292700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重城 喬行 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (90736422)
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80431740)
國澤 純 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, プロジェクトリーダー (80376615)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肺高血圧症における腸内細菌叢の変容と病態に与える影響について解析する研究である。実験計画に基づき平成29年度は肺高血圧モデルラットおよび低酸素曝露ラットでの腸内細菌叢解析を行った。さらに低酸素曝露とVEGF阻害薬投与を行うことで肺高血圧モデルラットを作成し、これらの曝露前および曝露後8週に便の採取および肺動脈リモデリングの病理学的解析を行った。コントロール群との間には、肺動脈のリモデリングが肺高血圧症ラットでは強いという所見が得られた他、両者の群で腸内細菌叢比較では多様性解析などで差が認められた。 低酸素曝露が腸内細菌叢へ与える影響についてはこれまで検討されていない。上記肺高血圧モデルラットでは低酸素およびVEGF阻害薬投与の二重の曝露因子が必要である。低酸素そのものが細菌叢の変容に影響を与える可能性を考え、低酸素曝露3週を行ったラットと行わないラットの間で腸内細菌叢の解析を行った。元来、小腸以降の腸管内は嫌気性環境であり、低酸素曝露での細菌叢変容は起こらないと予想していたが、細菌叢の組成および多様性解析で差が認められた。 肺動脈リモデリングと細菌叢の変容を因果関係で結ぶ事については細菌叢解析に精通した研究者の意見が必要であると考えた。そのため、平成29年度途中より細菌叢解析に精通した医薬基盤・健康研究所 ワクチンマテリアルプロジェクト 國澤純先生との共同研究を行う事となり、上記データのさらなる詳細な解析を行っている。 さらに平成30年度の肺高血圧症患者を対象とした臨床研究の開始に向けての準備を進め、年度初めより上記臨床研究を開始する体制が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の実験計画で予定していた動物実験での細菌叢解析は予定通り行う事ができた。概要に示したとおり、低酸素曝露ラット、肺高血圧モデルラットでの肺動脈リモデリングの病理学的解析と細菌叢解析の結果を得ることができた。しかし、次世代シークエンサーで得られたデータは膨大であり、肺動脈リモデリングとの関連を紐付けするレベルには至らず、メタゲノム解析など細菌叢の機能解析や糞便中の有機酸分析については行う事ができなかった。細菌叢の変容の意義について深く理解する必要があり、概要に示した医薬基盤・健康研究所 ワクチンマテリアルプロジェクト 國澤純先生へ解析を依頼し、その意義について明らかにしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は肺高血圧症患者より糞便の採取を行い、腸内細菌叢解析を行う臨床研究を開始する。その中で動物実験と対比しながら、細菌叢の変容の有無とその意義について明らかにしていきたい。そのためには、細菌叢解析の緻密なデータ分析が必要となる。平成29年度途中より共同研究者となった細菌叢解析に精通した医薬基盤・健康研究所 ワクチンマテリアルプロジェクト 國澤純先生に細菌叢データ解析を依頼し、連携して研究結果を出していく予定となっている。 さらに動物実験データについては解析結果がまとまり次第、学会発表および論文報告などを行い、得られた知見について順次発信していく予定である。
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