2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09608
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大野 康 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (00334938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 雅規 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (50214630)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 呼吸器内科学 / IB-IVUS |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢発生の肺がん診断において気管支鏡下の気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography: EBUS)は現在、重要な診断方法の一つとなっている。気管支腔内超音波断層法は気管支鏡を介し細径超音波プローブを挿入し、気管支周囲組織の超音波画像を得る方法である。しかし、腫瘍のサイズ、形状によっては超音波画像のみでは良悪性の診断に困難なことが多い。本研究の目的は、本学循環器内科領域で確立した超音波信号の反射波を分析し計算されるintegrated backscatter(IB)を気管支鏡に応用して腫瘍のIB値を測定して腫瘍の良悪性の診断、悪性の場合の組織学的分類 分化度の評価、周囲への進展の有無、胸膜、血管、気管支との距離、肺門、縦隔リンパ節への進展の有無を評価することである。 研究の方法は気管支鏡検査時に現在臨床応用されている気管支腔内超音波断層法(EBUS)を透視下に行い、透視およびエコーにて腫瘍部位を同定する。その後IB-IVUSで使用する血管超音波カテーテルを気管支鏡の鉗子口より挿入し、腫瘍に到達したことを確認し、IB値を測定する。同部位より生検を行い、組織学的診断の上、腫瘍、リンパ節、肺組織のIB値から手術標本にて測定した腫瘍や正常肺組織のIB値を比較して生体内でのそれぞれのIB値を測定する。平成29年度は、1.血管内超音波装置のEBUSへの応用、2.コンピュータープログラムの開発-EBUSからIB値の測定、3.EBUS/IB値から治療への応用を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.血管内超音波装置のEBUSへの応用。①気管支鏡検査時に現在臨床応用されている気管支腔内超音波断層法(EBUS)を透視下に行い、エコーにて腫瘍部位を同定。その後IB-IVUSで使用する血管超音波カテーテルを気管支鏡の鉗子口より挿入し腫瘍に到達したことを確認し、IB値を測定。同部位より生検を行い、組織学的診断の上、EBUSでのエコー所見とIB-IVUSでのIB値を比較検討し、生体内での腫瘍組織のIB値が手術標本で得られたIBとどのように対応するか腫瘍の組織型分化度の比較検討を行った。 2.コンピュータープログラムの開発-EBUSからIB値の測定。①現在の血管内エコー装置からのIB値の測定のみでなく、新たに気管支鏡検査用のIB測定装置を開発。現在気管支鏡で使用されているEBUS装置そのものから超音波信号を取りだし、その信号のフォーマットに適合するコンピュータープログラムを開発する。この装置により得られた信号を生検あるいは手術後標本から得られた画像を比較検討し各IB値がどの組織に対応するかを検討した。②現在臨床応用されている気管支腔内超音波断層法(EBUS)の信号からコンピューター解析によりon timeでIB値が測定可能となれば多くのEBUS所有の施設で臨床応用可能となる。気管支内視鏡検査中に腫瘍の存在診断のみならず、組織性状、周囲への進展の有無も可能となる可能性がある。③中枢部の腫瘍、縦隔腫瘍、縦隔リンパ節腫脹の場合も現在の中枢用のEBUSからの信号をプログラムされたコンピューターからIB値を解析して末梢腫瘍のみならず、中枢病変においても組織性状診断が可能となり、生検時の有用な補助診断検査になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. EBUS/IB値と超微形態の関連 遺伝子変異 免疫チェックポイント機構との関連 ①気管支鏡生検組織検体および手術標本を用いてHE染色による病理組織所見と血管内超音波カテーテルによるIB値の関連に加え、電子顕微鏡による超微形態の観察を行う。IB値の測定はHE染色や免疫組織染色のみならず、電子顕微鏡による超微形態との関連があるかいなかを検討する。②現在、肺がん治療においては、腫瘍組織の遺伝子変異(特にEGFRや EMA-ALK遺伝子)の有無が治療法の選択に重要である。血管内超音波カテーテルを用いてIB値の測定は肺癌組織の遺伝子変異の有無と関連がある可能性もあり、現在臨床応用されている遺伝子ならびにK-rusやp53,VEGFなどの癌の増殖や抑制に関連する遺伝子の発現との関連を検討する。③今後の肺がんの治療には免疫チェックポイント阻害薬が重要となってくると思われる。上記と同様に血管内超音波カテーテルを用いてIB値の測定はPDL-1やPD-1, CTLA4などの免疫に関連する蛋白の発現との関連があるか否かを検討する。 2. 血管内超音波信号の解析、EBUSでIB測定可能となるコンピュータプログラムの開発、施行①現在われわれが行っている血管内超音波装置のコンピュータプログラムの開発を行い、気管支鏡で直接測定可能な超音波信号装置を開発して現在の気管支内視鏡超音波検査EBUS-TBNAおよびEBUS-GSでIB値の測定を可能とする。気管支鏡検査中のon timeでIB値の測定を可能として実地診療に用いられるように開発、施行を行う。
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