2018 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用に向けた喘息におけるアクアポリン3の役割の解析
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17K09613
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
小賀 徹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90378670)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 喘息 / アクアポリン3 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、主体であったヒト喀痰サンプルでのAQP3の測定系を確立したうえで、臨床試験を実施して、実際に健常人、非重症喘息、重症アトピー型喘息例で採取した誘発喀痰上清中のAQP3濃度を測定し、成功した。加えて、各種サイトカイン・メディエーターについて、網羅的な解析を行った。喀痰中のAQP3濃度については、3群間で有意な差は認めなかったが、AQP3と各種サイトカイン・メディエーター濃度との関係は各群で特徴的なパターンを認めた。全体解析でAQP3と関連の強いサイトカインはIL-7, IL-12, IP-10 (rho=0.54~0.41, p<0.0001)であった。健常人ではIP-10, IL-12, G-CSF, IL-8 (rho=0.67~0.54, p <0.03)、非重症喘息例ではIP-10, IL-7, MIP-1b, IL-9, MCP-1, IL-12 (rho=0.56~0.39, p<0.005)、重症アトピー型喘息例ではIL-12, IL-13, IL-10, IL-7, VEGF, Eotaxin, MCP-1 (rho=0.59~0.37, p<0.03)の各濃度がAQP3濃度と関連した。生理的環境下・非重症喘息例ではAQP3と2型炎症との関係は乏しいが、重症アトピー型喘息例ではIL-13やeotaxinなどとの関係が認められ、2型炎症への関与も示唆される結果を得た。今後、臨床指標との関連も検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人、非重症喘息、重症アトピー型喘息例を登録し、誘発喀痰上清中のAQP3の測定系を確立して、測定することができた。今、他のサイトカイン・メディエーターについて網羅的な解析を行っているところで、研究自体は、おおむね順調に経過することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
症例登録も完了し、研究の一番の主体であった誘発喀痰上清中のAQP3の測定も終了した。現在、いろいろなサイトカイン、メディエーターや臨床指標との解析を行っている。AQP3との関連について、重症アトピー型喘息例では、生理的環境下・非重症喘息例と異なり、IL-13やeotaxinなどとの関係が認められ、2型炎症への関与も示唆される結果を得ており、今後、さらに解析をすすめてsupportiveなデータがあれば追加して、2019年度にまとめて論文投稿ができるようにすすめていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究代表者である小賀が、年度途中で、所属が京都大学大学院医学研究科より、川崎医科大学呼吸器内科学教室へ異動となり、体制がかわり、状況を整えるのに時間を要して、環境がかわって、物品の購入の予定が当初よりかわってしまったことがおり、主な原因である。なお、研究自体は、連携研究員である京都大学の松本准教授を中心に検体採取・測定を終了しており、あとは、協力体制を整えながら、結果の解析、まとめへ進んでいくので支障はない。
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