2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K09615
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 和幸 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (50403275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 善博 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (20291453)
山本 正嗣 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40542139)
永野 達也 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (80624684)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 気管支サーモプラスティ / Xenon CT |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支サーモプラスティは、重症喘息患者に対して行われる気管支鏡下の治療手技で、気管支壁に高周波電流を65℃で10秒間通電することにより、肥厚した気道平滑筋を減少させ、気道の収縮を抑制する。通常、3週おきに①右下葉枝、②左下葉枝、③両上葉枝の順に計3回に分けて高周波電流治療を施行する。近年の研究から、気道の過敏性や、気道炎症そのものも改善することが報告されている。そこで、治療効果による肺の換気の変化を視覚的にとらえることや、気管支サーモプラスティ治療前後での炎症性メディエーターの経時的変化を追跡することで、気管支サーモプラスティの作用機序やリモデリングにおける気管支平滑筋の役割を明らかにすることを目的に本研究を立案した。本研究の成果により、気管支サーモプラスティの効果予測因子が明らかとなり、より適切な患者選択が可能になること、その結果、重症喘息患者のQOLや生命予後が改善することが期待される。 本年度は4名の患者に対して気管支サーモプラスティを行い、Xenon CTを経時的に撮影した。その結果、気管支サーモプラスティの効果は治療した気管支の支配領域のみにとどまらず、治療していない気管支領域にも及ぶことを世界に先駆けて視覚的に明らかにした。また、炎症性メディエーターの測定用の呼気凝縮液サンプルを回収した。気管支サーモプラスティの前後で気道過敏性試験と、呼気NOの測定も行っており、炎症性サ イトカインや炎症性メディエーターの経時的変化と比較検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、気管支サーモプラスティの作用機序を明らかにし、効果予測因子の同定に結び付けることである。 そのため、本年度は気管支サーモプラスティ治療に合わせて、Xenon肺換気CTを行い、呼気凝縮液などの臨床サンプルを回収した。また、登録した4例について引き続いて、Xenon残留区域などの解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、呼気凝縮液中のサイトカインをELISAにより解析し、前年度に得られた臨床データと共にデータを解析し、気管支サーモプラスティの作用機序の解明につながる臨床データやTh1系統、Th2系統、Th17系統のサイトカイン(IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-13、IL-17A、IL-17F、IL-21、TGF-β、IL-10等)の変化、また、治療前のデータで効果予測因子につながるものがないかを解析する。さらに気道平滑筋細胞を用いた実験で、気道平滑筋の果たす役割について明らかにする。すなわち、気管支平滑筋細胞株を用いて、PDGF存在下やステロイド併用投与、S1P併用投与した際の平滑筋細胞の遊走能をOris Cell Migration Assay Kitで評価する。気管支平滑筋細胞の培養液に、患者から採取した呼気凝縮液や患者呼気凝縮液で増加の見られた蛋白を作用させ、平滑筋細胞から誘導される炎症性サイトカインを同定する。また、これらのサイトカイン産生がステロイドやS1Pで制御可能かを、細胞実験で評価し、リモデリング治療への可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は呼気凝縮液の回収のみ行い、呼気凝縮液中のサイトカインの定量を行わなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、呼気凝縮液中のサイトカインの定量に用いる。
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