2018 Fiscal Year Research-status Report
同種造血細胞移植後の閉塞性細気管支炎における組織マクロファージの解析
Project/Area Number |
17K09616
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 伸治 岡山大学, 大学病院, 講師 (60362977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藤 剛宏 岡山大学, 大学病院, 教授 (40452578)
前田 嘉信 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (60403474)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 閉塞性細気管支炎 / 同種造血幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
同種造血幹細胞移植後の閉塞性細気管支炎患者における局所浸潤マクロファージの解析を進めている。平成29年度までに、男性ドナーからの同種造血幹細胞移植を受けた女性患者で、移植後に閉塞性呼吸機能障害を発症し肺移植を受けた症例を対象に検討を行った。摘出肺のパラフィン切片を用いて、CD68とXY-FISHの同時検出するImmuno-FISHでマクロファージの由来解析を行った。その結果、検討した範囲においてマクロファージの多くはドナー型であることを見出した。 平成30年度は検体数を増やし結果の再現性を確認したが、閉塞性細気管支炎組織に浸潤するマクロファージのほとんどすべてがドナー由来であり、移植後患者においてドナー由来の造血幹細胞から免疫担当細胞と由来を同じくすると考えられた。多くの症例において、同種移植後数年が経過していることから妥当な結果と考えられたが、肺移植後の慢性拒絶として発症する閉塞性細気管支炎における報告とは異なった結果であった。また、由来解析に加え、CD206, CD163, TGF-βなど免疫染色による局所浸潤マクロファージのphenotypeの検討を行った。その結果、いわゆるM2マクロファージのマーカーであるCD163, CD206は発現を認めなかった。現在、マーカーの種類を増やし検討を進めている。 これまでのBOS検体の組織学的な検討の中で、細気管支領域の変化は同一患者の同一組織内でも一様ではなく、BOSの組織的な発生期(炎症期)から、完成期(線維化期)までには時間的、空間的に多彩な組織像が含まれていることが確認できた。今後、それぞれの時期によるマクロファージのphenotypeの変化も併せて検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺移植組織を用いたマクロファージの由来解析は順調に進んでいる。気管支肺胞洗浄液を検体としたマクロファージ以外の免疫細胞の検討は、対象となる検体が限られており進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度より、BOSの標的部位となる細気管支周囲を、その組織像によって初期、中期、後期に分類し、それぞれの部位からマイクロダイセクションによって得た検体を用いた網羅的な遺伝子解析を試みている。マクロファージ以外の免疫担当細胞を含めた免疫機序を検討する上で有用性が高いと考えられ、前向きに検体と集める必要のある、当初の気管支肺胞洗浄液を用いた解析に代わる方法として準備を進めている。平成30年度末の段階では、古いパラフィン切片を用いてアッセイに必要な高品質のRNA抽出が可能であるかどうかについて検討を開始した。今後、検体数を増やし必要なRNA量の確保を試み、遺伝子解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
進捗が遅れている気管支肺胞洗浄液を用いた解析の代替案として、パラフィン切片を用いた免疫関連遺伝子の網羅的解析の準備を行っている。平成30年度の段階では、主に保存検体からの高品質RNA抽出に時間を要し、実際のアッセイは次年度となった。 次年度においては、網羅的解析でBOS発症に関わる候補遺伝子をピックアップし、その後は免疫染色で確認を行うため、抗体などにも予算を使用する予定である。
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